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  1. 埼玉県議会 2006-02-01
    02月23日-02号


    取得元: 埼玉県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-06
    平成18年  2月 定例会二月定例会  第四日(二月二十三日)平成十八年二月二十三日(木曜日)第四日 議事日程 一 開議  午前十時 二 議席の変更及び決定の報告 三 新議員の紹介    西第九区選出  加藤 清議員 四 常任委員の選任 五 特別委員の選任 六 諸報告  (1) 人事委員会意見回答     第二十一号議案~第二十三号議案、第二十五号議案及び第四十九号議案~第五十一号議案  (2) 教育委員会意見回答     第五十二号議案  (3) 地方自治法第百八十条第二項の規定に基づく専決処分 七 知事追加提出議案の報告、一括上程    第六十九号議案~第九十一号議案 八 知事の提案説明 九 知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問(代表)    八十四番  秋谷昭治議員    五十九番  畠山清彦議員 十 次会日程報告    二月二十四日(金) 午前十時開議、質疑質問(代表)続行 十一 散会          ----------------本日の出席議員   九十一名       一番  加藤 清議員       二番  鈴木正人議員       三番  田口禎則議員       四番  森田光一議員       五番  松本恒夫議員       六番  小菅健夫議員       七番  梅澤佳一議員       八番  松沢邦翁議員       九番  相馬宏雄議員       十番  小林哲也議員      十一番  中村 健議員      十二番  塩野正行議員      十三番  久保田厚子議員      十五番  諸口高男議員      十六番  本木 茂議員      十七番  藤本正人議員      十八番  宮崎栄治郎議員      十九番  荒川岩雄議員      二十番  清水勇人議員     二十一番  鈴木 弘議員     二十二番  清水寿郎議員     二十三番  石田 昇議員     二十四番  渋谷 実議員     二十五番  中村興夫議員     二十六番  小島信昭議員     二十七番  蒲生徳明議員     二十八番  石渡 豊議員     三十一番  黒田重晴議員     三十二番  鈴木聖二議員     三十三番  北堀 篤議員     三十四番  鈴木義弘議員     三十五番  逢澤義朗議員     三十六番  本澤安治議員     三十七番  岡部三郎議員     三十八番  島野 直議員     三十九番  神山佐市議員      四十番  島田正一議員     四十一番  細田徳治議員     四十二番  西山淳次議員     四十三番  西田矩子議員     四十四番  吉田芳朝議員     四十五番  山川百合子議員     四十六番  守屋裕子議員     四十七番  佐久間 実議員     四十八番  近藤善則議員     四十九番  成塚常吉議員      五十番  峯岸光夫議員     五十一番  長峰宏芳議員     五十二番  樋口邦利議員     五十三番  竹並万吉議員     五十四番  田中千裕議員     五十五番  鹿川文夫議員     五十六番  白石孝一議員     五十七番  田中龍夫議員     五十八番  森泉義夫議員     五十九番  畠山清彦議員      六十番  村上明夫議員     六十一番  当麻よし子議員     六十二番  河村勝子議員     六十三番  吉田 弘議員     六十四番  奥ノ木信夫議員     六十五番  長沼 威議員     六十六番  石渡 勲議員     六十七番  滝瀬副次議員     六十八番  井上直子議員     六十九番  蓮見昭一議員      七十番  田島敏包議員     七十一番  丸木清浩議員     七十二番  大山 忍議員     七十三番  斎藤正明議員     七十四番  福永信之議員     七十五番  矢部 節議員     七十六番  神杉一彦議員     七十七番  高橋 努議員     七十八番  角 靖子議員     七十九番  古寺五一議員      八十番  神谷裕之議員     八十一番  奥田昌利議員     八十二番  大沢立承議員     八十三番  遠藤俊作議員     八十四番  秋谷昭治議員     八十五番  谷古宇勘司議員     八十六番  大石忠之議員     八十七番  深井 明議員     八十八番  秋山 清議員     八十九番  野本陽一議員      九十番  山本晴造議員     九十一番  笠原英俊議員     九十二番  松本安弘議員     九十三番  秦 哲美議員     九十四番  山岸昭子議員欠席議員   なし地方自治法第百二十一条の規定により説明のため出席した人    上田清司  知事   都筑 信  副知事   齋藤 健  副知事   田村健次  出納長   橋本光男  総合政策部長   坂口 護  総務部長   飯島和夫  危機管理防災部長   飯島正美  環境部長   大津 晄  福祉部長   中村健二  保健医療部長   馬場竹次郎 産業労働部長   杉田勝彦  農林部長   小沢 隆  県土整備部長   樋口和男  都市整備部長   島村和男  公営企業管理者   伊能 睿  病院事業管理者   稲葉喜徳  教育長   加地正人  警察本部長             発言(質問)通告書  二月二十三日(木)議席番号 氏名      要旨 答弁者八十四番 秋谷昭治議員  1 平成十八年度予算案について 知事             2 新たな5か年計画について 知事             3 積極的な税収確保について 知事             4 大規模災害に備えた防災対策について 知事             5 救急医療体制の拡充について 知事             6 防犯対策について 知事 教育長               -子どもたちの安全の観点から-             7 超高齢社会における福祉施策について 知事             8 総合的な障害者施策について 知事             9 産業振興について 知事             10 圏央道を生かした企業誘致対策について 知事             11 道路網の整備について 知事             12 埼玉の顔の見える農業振興策について 知事             13 明日の埼玉を支える子どもたちの教育について 教育長             14 埼玉県の治安対策について 警察本部長五十九番 畠山清彦議員  1 平成十八年度予算編成及び知事の県政運営について 知事              (1) セーフティーネットの構築について              (2) 行政改革と予算編成について              (3) 「仕事編成」について              (4) 知事の人事評価について              (5) 女性職員の積極的な幹部登用を             2 産業政策について 知事             3  チャイルドファースト社会の創出を 知事              (1) 少子化対策について              (2) 青少年健全育成のために勇気ある規制を             4 「教育立県・埼玉」を目指して              (1) 教員の資質向上について 教育長               ア 教育局主催の(仮称)「教師塾」の開設を               イ 全県立高校での「生徒による授業評価」の実施を               ウ 全県家庭訪問運動の実施を               エ 教員から教師へ、そして恩師へ              (2) 家庭の教育力について               ア 「親の学習」について 教育長               イ 家族写真による啓発事業について 知事              (3) 高校の中途退学防止対策について 教育長              (4) 国際理解教育の拡充を 〃             5 知事のお客様を県立高校に招へいを 知事             6 本多静六博士の宣揚と奨学金制度の充実について 知事             7 農業政策について 知事              (1) 産地間競争に勝つ施策の展開を              (2) 新品種の育成について              (3) 農産物の安全性について             8 観光行政について 知事             9 安心・安全のまちづくりについて              (1) 大規模災害時の即応体制の整備について 知事              (2) 緊急輸送道路への案内板の設置について 知事 警察本部長              (3) AED(自動体外式除細動器)に関する訓練を 知事              (4) 埼玉高速鉄道の安全性確保について 〃              (5) 「さいたまタワー」について 〃          ----------------午前十時一分開議  出席議員   九十名   一番   二番   三番   四番   五番   六番   七番   八番   九番   十番   十一番  十二番   十三番  十五番  十六番  十七番   十八番  十九番  二十番  二十一番   二十二番 二十三番 二十四番 二十五番   二十六番 二十七番 二十八番 三十一番   三十二番 三十三番 三十四番 三十五番   三十六番 三十七番 三十八番 三十九番   四十番  四十一番 四十二番 四十三番   四十四番 四十五番 四十六番 四十七番   四十八番 四十九番 五十番  五十一番   五十二番 五十三番 五十四番 五十五番   五十六番 五十七番 五十八番 五十九番   六十番  六十一番 六十二番 六十三番   六十四番 六十五番 六十六番 六十七番   六十八番 六十九番 七十番  七十一番   七十二番 七十三番 七十四番 七十五番   七十六番 七十七番 七十八番 七十九番   八十番  八十一番 八十三番 八十四番   八十五番 八十六番 八十七番 八十八番   八十九番 九十番  九十一番 九十二番   九十三番 九十四番  欠席議員   一名   八十二番  地方自治法第百二十一条の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(都筑) 副知事(齋藤)   出納長      総合政策部長  総務部長   危機管理防災部長 環境部長    福祉部長   保健医療部長   産業労働部長  農林部長   県土整備部長   都市整備部長  公営企業管理者   病院事業管理者  教育長     警察本部長 △開議の宣告 ○蓮見昭一議長 ただ今から、本日の会議を開きます。          ---------------- △議席の変更及び決定の報告 ○蓮見昭一議長 まず、新議員の選出に伴い、お手元に配布しておきました議席変更一覧表のとおり、本日付けで議席の変更及び決定をいたしましたので、御報告いたします。〔参照〕        議席変更一覧表   一番  加藤 清議員    二番  鈴木正人議員   三番  田口禎則議員    四番  森田光一議員          ---------------- △新議員の紹介 ○蓮見昭一議長 この際、過日の補欠選挙において当選されました議員を紹介いたします。 西第九区選出 加藤清議員     〔一番 加藤清議員登壇〕(拍手起こる) ◆一番(加藤清議員) ただ今、議長のお許しをいただきましたので、一言ごあいさつを申し述べさせていただきます。 私は、十九日の補選で埼玉西九区、日高市より選出をされました加藤清でございます。大変若輩ではありますが、先輩皆様の御指導によりまして一所懸命努めさせていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。 なお、私、日高のビタミンということで活動してまいりました。これからは、埼玉のビタミンになれるよう頑張ってまいりますので、よろしくお願いを申し上げます。(拍手起こる)          ---------------- △常任委員の選任 ○蓮見昭一議長 次に、常任委員の選任の件を議題といたします。 おはかりいたします。 一番 加藤清議員を福祉保健医療委員に選任いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と言う人あり〕 ○蓮見昭一議長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。          ---------------- △特別委員の選任 ○蓮見昭一議長 次に、特別委員の選任の件を議題といたします。 おはかりいたします。 一番 加藤清議員を交通網・防犯・地域整備対策特別委員に選任いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と言う人あり〕 ○蓮見昭一議長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。          ---------------- △諸報告 △人事委員会意見回答(第二十一号議案~第二十三号議案、第二十五号議案及び第四十九号議案~第五十一号議案) ○蓮見昭一議長 この際、諸般の報告をいたします。 まず、本定例会に知事から提出された議案のうち、第二十一号議案ないし第二十三号議案、第二十五号議案及び第四十九号議案ないし第五十一号議案について、人事委員会に意見を求めておきましたところ、回答がありましたので、お手元に配布しておきましたから、御了承願います。〔参照-(四三六)ページ〕          ----------------教育委員会意見回答(第五十二号議案) ○蓮見昭一議長 次に、本定例会に知事から提出された議案のうち、第五十二号議案について、教育委員会に意見を求めておきましたところ、回答がありましたので、お手元に配布しておきましたから、御了承願います。〔参照-(四三七)ページ〕          ---------------- △地方自治法第百八十条第二項の規定に基づく専決処分
    蓮見昭一議長 次に、知事から専決処分の報告がありましたので、お手元に配布しておきましたから、御了承願います。〔参照-(四三三)ページ〕          ----------------知事追加提出議案の報告 ○蓮見昭一議長 知事から議案の追加提出がありましたので、報告いたします。 議事課長に朗読させます。     〔議事課長朗読〕財第五百二十五号  平成十八年二月二十三日 埼玉県議会議長  蓮見昭一様                             埼玉県知事 上田清司        県議会付議議案について 本議会に付議する議案を次のとおり提出いたします。第六十九号議案 平成十七年度埼玉県一般会計補正予算(第五号)第七十号議案 平成十七年度埼玉県公債費特別会計補正予算(第一号)第七十一号議案 平成十七年度埼玉県証紙特別会計補正予算(第一号)第七十二号議案 平成十七年度埼玉県市町村振興事業特別会計補正予算(第一号)第七十三号議案 平成十七年度埼玉県災害救助事業特別会計補正予算(第一号)第七十四号議案 平成十七年度埼玉県母子寡婦福祉資金特別会計補正予算(第一号)第七十五号議案 平成十七年度埼玉県小規模企業者等設備導入資金特別会計補正予算(第一号)第七十六号議案 平成十七年度埼玉県農業改良資金特別会計補正予算(第一号)第七十七号議案 平成十七年度埼玉県用地事業特別会計補正予算(第一号)第七十八号議案 平成十七年度埼玉県流域下水道事業特別会計補正予算(第三号)第七十九号議案 平成十七年度埼玉県県営住宅事業特別会計補正予算(第一号)第八十号議案 平成十七年度埼玉県高等学校等奨学金事業特別会計補正予算(第一号)第八十一号議案 平成十七年度埼玉県公営競技事業特別会計補正予算(第一号)第八十二号議案 平成十七年度埼玉県病院事業会計補正予算(第二号)第八十三号議案 平成十七年度埼玉県電気事業会計補正予算(第一号)第八十四号議案 平成十七年度埼玉県工業用水道事業会計補正予算(第一号)第八十五号議案 平成十七年度埼玉県水道用水供給事業会計補正予算(第三号)第八十六号議案 平成十七年度埼玉県地域整備事業会計補正予算(第二号)第八十七号議案 工事請負契約の変更契約の締結について第八十八号議案 権利の放棄について第八十九号議案 訴えの提起について第九十号議案 訴えの提起について第九十一号議案 民事調停の申立てについて ○蓮見昭一議長 ただ今報告いたしました議案は、お手元に配布しておきましたから、御了承願います。〔参照-(三〇〇)ページ〕          ---------------- △第六十九号議案~第九十一号議案の一括上程 ○蓮見昭一議長 知事から追加提出された第六十九号議案ないし第九十一号議案を一括して議題といたします。          ---------------- △知事の提案説明 ○蓮見昭一議長 知事の説明を求めます。 上田清司知事     〔上田清司知事登壇〕 ◎上田清司知事 ただ今、御提案を申し上げました議案につきまして、御説明をいたします。 初めに、第六十九号議案「平成十七年度埼玉県一般会計補正予算(第五号)」について申し上げます。 まず、歳入についてでございますが、県税収入については、企業収益の回復等を踏まえ、法人関係税を中心として二百五十三億円の増額を計上いたしております。 また、地方交付税につきましては、交付決定額と予算計上額との差、約十六億円を増額しております。 県債につきましては、事業の執行見込みに対応して既定計上額との調整を行います。また、地方交付税の振替である臨時財政対策債等について、国からの決定額と予算計上額との差額を補正するものでございます。 次に、歳出について申し上げます。 公債費の満期一括償還に係る積立金などを計上いたしました。 また、給与費につきましては、執行見込みと既定計上額との調整を行い、所要経費の補正を行うものでございます。 国民健康保険に係る県財政調整交付金につきましては、医療給付費の実績が当初の見込みを上回ることから増額の補正をお願いするものでございます。 また、国の補正予算に伴い、社会福祉施設における耐震化やアスベスト対策等を推進してまいります。 このほか、国庫支出金の確定や事業の進ちょくに基づき、所要の補正を行うものでございます。 歳入歳出予算以外では、年度内に完了する見込みが立たない事業について、繰越明許費等の設定をお願いしております。 なお、財政調整のための基金につきましては、本年度の収支見通しを勘案し、県債管理基金や大規模事業推進基金などで取崩しの一部を中止することにしております。 以上の結果、一般会計の補正予算額は二億七千百七十二万四千円の減額となり、既定予算との累計額は一兆六千四百二億一千四十万六千円となります。 次に、第七十号議案から第八十一号議案までの十二件は特別会計について、第八十二号議案から第八十六号議案までの五件は企業会計について、それぞれ事業量の確定などに伴い所要の補正を行うものでございます。 第八十八号議案「権利の放棄について」は、中小企業設備近代化資金におきまして、回収が不能である七件の未収債権を放棄することにつきまして議決を求めるものでございます。 その他の議案につきましては、提案理由等により御了承をいただきたいと存じます。 以上で私の説明を終わりますが、何とぞ慎重審議の上、議決を賜りますようお願い申し上げます。          ----------------知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問(代表) ○蓮見昭一議長 これより、知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問を行います。 発言通告がありますので、順次これを許します。 自由民主党代表 八十四番 秋谷昭治議員     〔八十四番 秋谷昭治議員登壇〕(拍手起こる) ◆八十四番(秋谷昭治議員) 八十四番、自由民主党の秋谷昭治でございます。 質問に入ります前に、今月十七日に滋賀県長浜市において発生した、二人の幼い命が理不尽にも奪われるという事件につきまして、犠牲になられた方々に深い哀悼の意を表意させていただきます。 亡くなった園児の同級生の母親による犯行であったとの報道に接し、がく然とする思いでありますが、今後、動機を含めた事件の原因や背景についてきちんと究明し、しかるべき対策がとられますことを切に希望いたします。 それでは、自由民主党県議団六十一名を代表して、上田県政が抱える主要な課題について、順次質問をしてまいります。 まず、平成十八年度予算案についてお伺いいたします。 政府の経済見通しによりますと、我が国経済は、世界経済の回復が続く中で企業収益が改善し、雇用や所得環境が改善するなど、引き続き民間需要中心の緩やかな回復を続けるものと見込まれております。また、昨年十二月の日銀短観におきましては、企業の景況感を示す業況判断指数が、大企業製造業で前年の十二月以来の高水準となるほか、非製造業や中小企業においても改善が見られるなど、景気回復のすそ野が広がりつつあることを示しております。 こうした状況の中で、上田知事には、知事就任後三回目の通年予算の編成に臨まれました。平成十八年度予算案においては、こうした景気回復の基調を受けて、歳入面では、法人関係税をはじめとする県税収入に一定の伸びを計上するなど、一見、明るい材料も見えつつあります。 しかしながら、歳出面では福祉や医療関係経費が増加するほか、職員の退職手当が急増するなど、いわゆる義務的経費が増加し、引き続き極めて厳しい財政状況が続くとの見方を知事は示しております。すなわち、予算全体としては増加基調にあるものの、義務的経費の増加により、政策的な観点から一定の裁量を持って活用できる財源は、むしろ減少しているとの認識であると理解しております。したがって、平成十八年度予算編成に当たっては、これまで以上に厳しい取捨選択を余儀なくされたことと思います。 一方で、知事の四年間の任期の中で三回目の予算編成ともなれば、任期中のいわば仕上げの段階であり、県民の皆さんにお約束をした施策について、目に見える形での成果を出していかなければならない時期であると考えます。防犯のまちづくりの推進や県内経済の活性化、公共事業の重点化などは、いずれも県民の皆さんが大きく期待を寄せているところであります。数多くの政策課題がある中で、必要性や効果を見極め、真に必要な事業へと重点化を図ることは、決して容易ではない作業であったと推察をいたします。 そこで、知事にお伺いいたします。 知事就任後の三回目の予算編成に当たり、任期中に成果を確実に上げていくという観点から、特に重点的に取り組んだ点は何か、具体的に御答弁をいただきたいと存じます。 併せて、財政の健全化についてお伺いいたします。 知事は、昨年二月に、収支不足額の圧縮や県債依存度の抑制などを目標とする行財政改革プログラムを策定されました。そこで、今回の予算編成を通じて、財政の健全化についてはどのように対応したのか。 以上二点についてお伺いいたします。 次に、新たな5か年計画についてお伺いいたします。 二〇〇二年から始まった現在の景気の拡大は、戦後最長だったいざなぎ景気の五十七か月間を超えるかどうか注目を集めております。確かに先ほども申し上げましたとおり、企業収益の改善、設備投資や個人消費の増加など、経済指数は緩やかに回復しております。 しかし一方で、経済統計には現れない根本のところで、日本の将来にとって極めて心配な問題が生じていることを見過ごしてはなりません。例えば雇用情勢を見ても、完全失業率が低下し、有効求人倍率が上昇しているなど、確かに統計的には改善の数値が出ております。しかし、その一方で、いわゆるニートやフリーターは増加しております。また、消費について見ますと、小売業販売額が増加するなど個人消費も回復傾向にありますが、一方で地方都市の商店街は活力を失い、シャッター通りになっている現状もあります。株式市場は活況を呈していますが、ライブドア事件の教訓が示すとおり、世の中に拝金主義に近い考え方が広がっているのではないかとの指摘もあります。 昨年十二月に国勢調査の速報値が公表されましたが、我が国の人口はいよいよ減少局面に入ったのではないかと言われており、高齢化も更に加速する状況であります。目の前の景気回復に浮かれるのではなく、社会の底流で今起きている変化を、そしてまた、正にこれから始まろうとしている大変化をまず正面から見据える。そして、これからどのような社会を目指すのかについて責任あるビジョンを示す。このことが今、政治に求められております。 知事は昨年、埼玉グランドデザインを発表され、ゆとりとチャンスの埼玉という将来像を示されました。チャンスにあふれ、誰もが夢の持てる「元気チャレンジ 埼玉」、住みやすく環境にやさしい「ゆとりの田園都市 埼玉」、誰もが安心して暮らせる「安心・安全 埼玉」という知事の考えには、私も大いに賛同するところであります。 しかし、本県はこれから人口が減少に向かい、高齢化も日本一のスピードで進むという中で、こうした将来像を実現するためには、高い戦略性が求められると思います。例えば、これまで東京で会社のために働いていた団塊の世代の多くが、退職後は地域に戻ってきます。子育てが一段落した女性も皆、高い能力を持っております。こうした県民一人一人の力を新しい埼玉づくりに結集することを一つの戦略として打ち立てることができれば、高齢化が進む中にあっても、活力ある埼玉を築くことは十分可能であります。 県では、知事のグランドデザインをベースに新たな総合計画の検討をされると聞いております。そこで、人口減少や高齢化が進む中にあって、新しい埼玉づくりに向けてどのような戦略で臨まれようとしているのか、知事の御見解をお伺いいたします。 次に、積極的な税収確保についてお伺いいたします。 先ほど来申し上げておりますとおり、平成十八年度の我が国経済は、民間需要中心の緩やかな回復を続けるものと見込まれておりますが、原油価格は依然として高止まりの状況にあり、その動向が経済の先行きに影響を与える懸念があります。また、順調に回復していた株価に冷水を浴びせる形となった本年一月のいわゆるライブドアショックのような経済の不安定要因となる事件などが、また起きないとも限りません。このように、景気には明るい兆しが見えているとはいえ、経済情勢は依然として楽観できる状況ではありません。 また一方で、三位一体の改革により国から地方への税源移譲が行われることとなりました。今後は、より一層自立した県財政の運営が迫られることとなります。しかし、本県の財政状況は、対応すべき行政課題が山積する一方で多額の収支ギャップが生じているなど、引き続き大変厳しい状況にあります。 こうした中、納めていただくべき税金についてはきちんと納めていただくという努力、すなわち県税収入確保対策の重要性はますます高まっているといえます。これまで県では、税収確保に向けて納税率のアップや収入未済額の圧縮、さらには適正課税の推進などに、知事自らが目標を掲げて職員を叱咤激励しながら精力的に取り組んでまいりました。その結果、平成十三年度に約四百億円であった収入未済額は、平成十六年度決算で約二百九十九億円となり、平成五年度以来十一年ぶりに三百億円を下回りました。 しかし、依然として納税率は平成十六年度決算で全国四十三位と低位にあります。納税率については、少なくとも全国平均には近づけていきたいということは、知事自身がお話しになっているところであります。そのためには、これまで以上に積極的な徴収対策を講じていく必要があります。また、こうした徴収対策だけではなく、税収確保を図るためには、課税調査を徹底することも重要であります。 そこで、知事にお伺いいたします。 県財政の健全化を図り、山積する行政課題に的確に対応するため、より積極的な県税収入確保対策を納税と課税の両面で推進することが必要と考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、大規模災害に備えた防災対策についてお伺いいたします。 今年は、六千四百人を超える尊い生命を奪った阪神・淡路大震災の発生から十一年を迎えました。また、新潟県中越地震の発生からは一年四か月の年月が経過しました。昨年は、福岡県や宮城県で震度六弱の地震が発生しました。特に、昨年七月には千葉県北西部を震源とする地震が発生し、本県でも震度五弱を観測したことは記憶に新しいところであります。 さらに、こうした自然災害だけでなく、JR福知山線や羽越本線といった列車事故が発生し、多くの方々が犠牲となりました。海外に目を向けますと、パキスタンでマグニチュード七・六の大地震が発生し、アメリカではハリケーン「カトリーナ」が猛威を振るい、堤防の決壊による大きな被害をもたらしました。 本県では、近年、幸いにも大きな災害に見舞われておりません。しかし、文部科学省の地震調査研究推進本部では、マグニチュード七クラスの地震が本県を含む南関東地域において、今後十年以内に三〇パーセント程度、三十年以内では七〇パーセント程度、五十年以内では九〇パーセント程度の確率で発生するとしております。また、マグニチュード八クラスの東海地震、東南海・南海地震の発生が危ぐされております。さらに、中央防災会議「首都直下地震対策専門調査会」においては、東京湾北部地震の切迫性が指摘されており、首都圏全体で建物被害八十五万棟、死者一万一千人の被害が発生すると想定されております。 これらのことから、本県におきましても大規模災害への対応が喫緊の課題となっております。上田知事は、日本一の安心・安全な埼玉の実現を目指して、防災対策に積極的に取り組んでおられます。今年度は、地域防災計画の見直しをはじめとして、防災ヘリの更新や各種支援協定の締結など、県の防災体制の充実が図られました。 しかしながら、災害対応には県や国といった行政だけでは限界があります。市町村において地域防災計画見直しが遅れている点や、消防庁が実施した「地域防災力・危機管理能力」の調査結果に見られるように、市町村の防災力が低いといった点に課題があると考えます。そこで、こうした課題を踏まえ、大規模災害に備えた防災対策について、現在の取組状況と今後の取組について、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、救急医療体制の拡充についてお伺いいたします。 申し上げるまでもなく、人々が幸せに、そして充実した人生を送るためには、心身共に健康であることが何よりも重要であります。そのためには、県内どの地域に住んでいても、一人一人の県民が等しく医療を受けられる体制を整備することが必要不可欠であります。特に病気やけがは、いつ何どき身に降りかかるか分からないものです。いつでも、どこでも安心して医療が受けられるような救急医療体制を整備することは、大変重要な課題であります。 さて、本県では病気やけがの症状に応じ、初期救急医療から第三次救急医療まで重層的な救急医療体制を整備しております。とりわけ、第三次救急医療を支える高度な診療機能を有し、二十四時間体制で重篤な患者を受け入れる救命救急センターは、県民の安全で安心な生活を支える重要な基盤であります。救命救急センターは、東京には二十一か所、千葉には八か所、神奈川には七か所あると聞いております。本県には六か所ありますが、本県の人口規模からして決して十分とは言えません。また、地域的にも県の南部地域に集中しております。 このような現状を踏まえ、知事は昨年八月、防災ヘリを活用したドクターヘリを導入し、高度救命救急医療を補完する体制を整えたところであり、県民の安全・安心が大きく前進したものと評価しております。今後は、専用機による運航を含め一層充実していただきたいと思います。 次に、小児の救急体制についてお伺いいたします。 小児救急体制も、大人と同様、初期救急、二次救急、三次救急となっております。その中で最も重要であり、体制維持が難しいのが二次救急であります。家族にとって、子供が急病となり、初期救急か二次救急か、とっさの判断はつかず、二次救急病院に駆け付けます。したがって、二次救急病院は大変です。先生方は疲労こんぱいし、その上、二次救急病院の医師が派遣病院から引き揚げられ、本体制が発足して間もない現在、体制崩壊の危機に直面しております。 次に、周産期医療についてお伺いいたします。 周産期医療の充実整備の必要性は、叫ばれて久しいものがあります。周産期とは、妊娠二十二週から生後七日未満までをいい、合併症や新生児仮死など、母体、胎児、新生児の生命にかかわる事態が発生する危険性の高い時期であります。母体搬送の数は年々増加傾向にあります。母体搬送のうち二〇パーセントが、南部は都内へ、北部は群馬県へ搬送されているのが現状であります。 安心・安全なまちづくりを掲げる上田知事にとって、早急に解決しなければならない救命救急センター・小児救急体制・周産期医療の拡充について、知事の決意のほどをお聞かせいただきたいと存じます。 次に、防犯対策について-子どもたちの安全を守る観点から-お伺いいたします。 私は、本県の犯罪状況において、平成十七年が大きな節目の年になったと考えております。まず、平成十年以降右肩上がりで過去最高を更新してきた犯罪発生件数が、八年ぶりに減少に転じたことであります。これはちょうど二年前、平成十六年二月定例会において、私ども自由民主党も積極的に取り組んだ結果、都道府県では全国でも例のない議員提案による埼玉県防犯のまちづくり推進条例が制定され、本県の防犯対策の方向性が定められたこと。また、国に対し警察官の増員を要望し、全国一の増員を勝ち取り、警察力を増強したこと。さらには防犯のまちづくりを県民総ぐるみで行えるよう、様々な対策を強力に推し進めた成果がようやく実ってきたものと高く評価している次第であります。 しかしながら他方においては、昨年末に広島市、今市市と連続して小学一年生の女子児童が殺害されるなど、日本列島を震かんさせる極めて卑劣で悲惨な事件が続きました。子供は、親だけでなく、社会にとっても明日の我が国を担う大切な宝であります。子供の安全が確保できない社会には、明るい未来はないと言っても過言ではありません。私は、子供が安全で安心して暮らせる社会を築くことは、我々に課せられた重大な責務であり、警察、行政、教育関係者、企業、地域住民などが一丸となって、子供を守るための防犯対策を進めるべきであると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 また、国におきましては、犯罪から子供を守るための緊急対策として、通学路の安全点検や防犯教室の開催などの施策を打ち出し、来年度政府予算案にも子供の安全対策を盛り込むなど、積極的に防犯・安全対策に取り組んでいるところであります。 県教育委員会でも、各市町村教育委員会や学校の主な取組について調査し、その結果を情報提供したと伺っております。子供の安全を守るためには、子供たち自身の防犯意識を高めること、さらには子供たちの安全は大人が守るという原点に立ち返って、地域の方々にも協力をいただくことが極めて重要であると考えております。そこで、今後どのような対策をお考えなのか、教育長の御所見をお伺いいたします。 次に、超高齢社会における福祉施策についてお伺いいたします。 昨年、日本の総人口は戦後初めて減少に転じました。これは、これまでの予測よりも二年早まったことになります。また、日本の少子高齢化は世界に例のないスピードで進行しておりまして、人口の三割が高齢者という超高齢社会が目の前に迫ってきております。 こうした中、昨年、介護保険法が改正されるとともに、障害者自立支援法、高齢者虐待防止法が相次いで成立しました。いずれもこの四月から施行され、福祉サービスの体系が大きく変化しようとしております。 埼玉県の場合、現在のところ高齢化率は全国で最も低くなっておりますが、約四十万人という団塊の世代の高齢化とともに一気に高齢化が加速し、全国平均に近づいていくと予測されております。私は、このままの状況で推移すれば、今後高齢者の増加とともに介護報酬が膨大に膨らみ、県や市町村の財政を圧迫していくのではないかと懸念をしております。このため、今回の介護保険法の改正では、介護予防重視という新しい考えを打ち出しました。私は、こうした予防重視という姿勢は大変重要であると思います。知事の言われる、全国に誇れる「安心・安全 埼玉」を実現するためにも、介護予防を推進し、限られた福祉予算の中で高齢者のニーズに十分に対応していくことが肝要と考えます。 また、団塊世代が六十歳を迎えようとする中で、この団塊世代の活用が大きな課題となっております。団塊の世代は勤労意欲も高く、まだまだ元気です。私は、この団塊の世代を、今後ますます需要が増大する福祉の分野で活用することができないかと考えます。これができれば、正に一石二鳥だと思います。 そこで、知事は、超高齢社会における福祉施策をどのように進めていかれるのか、基本的な考え方をお伺いいたします。 次に、総合的な障害者対策についてお伺いいたします。 県内では、身体障害者、知的障害者、精神障害者、それぞれに交付された障害者手帳の総数は年々増加し、平成十六年三月末で約二十二万人となっています。さらに近年、行動や情緒面での障害などの症状が見られる自閉症や注意欠陥多動性障害などの発達障害者や、頭部外傷等による高次脳機能障害者への新たな支援が課題となっております。 障害者に対する福祉サービスは、平成十五年四月に始まった障害者の支援費制度に代わり、身体障害者、知的障害者、精神障害者の福祉医療施策を総合的に支援する障害者自立支援法が今年の四月から実施されます。また、平成十七年四月に施行された発達障害者支援法では、発達障害児の早期発見、発達支援から教育、就労、地域での生活の一貫した支援体制の整備が必要とされているところであります。 私は、障害のある方が障害のない方と地域の中で共に生活することが普通の社会であるというノーマライゼーション社会を実現していくことが、本県においての重要な課題と考えております。最近では、障害のある方が地域の中でグループホームや住宅で暮らし、働き、生活する方々が少しずつ増えておりますが、就労問題や住まいの問題など、安心して生活する上で、まだまだ解決していかなくてはならない多くの問題があるのが現状であります。 このような状況の中、私は、すべての障害のある方々が地域の中で安心して生活し社会参加できるよう、県と市町村が連携し、より一層総合的、計画的な施策を展開していく必要があると考えておりますが、県としてどのように取り組んでいくのか、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、産業振興についてお伺いいたします。 本県経済の状況について見ますと、平成十七年の県内企業倒産の件数や負債総額は、平成十六年に比べ減少しておりますほか、有効求人倍率など雇用状況も改善しつつあるデータが出ております。また、県内民間シンクタンクの調査によると、本県経済は堅調であり、本年の経済成長率もプラス成長が続くという見通しが示されております。私も、本県経済は良い方向に動いていると考えておりますが、これも本県が産業の振興や経済の活性化のための対策に取り組んでいることの結果と言えるのではないかと考えております。 しかしながら、県内の多くの中小企業が景気回復の実感を十分得られているかと言えば、まだまだそこまではいっていないのではないかと思います。厳しい経営環境にあって、精一杯頑張っている企業も多いのではないでしょうか。 一方、少子高齢化が急速に進む中で、我が国の人口はとうとう減少期に入りました。歴史的に見ても大変大きな出来事であり、経済に与える影響も大きいものがあると考えております。人口が減ることは消費者が減ることでもあり、労働力も減ることにつながります。少子高齢化の進展が地域経済の活力低下につながることが懸念されます。 また、経済がグローバル化する中で、中国や韓国をはじめとする東南アジア諸国の経済力は高まってきており、国際的な競争の中で、県内中小企業も頑張っていかなくてはなりません。国内外の競争に勝ち抜いていけるような元気な企業が県内にたくさん活動するような状況が必要ではないかと考えます。良い方向に動いている本県経済でありますが、中長期的に見れば、厳しいハードルを越えていかなくてはならないのではないでしょうか。 そこで、知事にお伺いいたします。 まず、今後の本県産業振興の基本的な考え方についてどのようにお考えでしょうか。また、当面どのような分野に力を注いでいくおつもりなのでしょうか。明快な御答弁をお願いいたします。 次に、圏央道を生かした企業誘致対策についてお伺いいたします。 国土交通省の発表によりますと、圏央道は今後十年で全体が完成するということでありますが、県内区間につきましては、平成十九年度に関越道から(仮称)川島インターチェンジまでが完成し、平成二十四年までに順次整備される見通しであります。この圏央道の整備により、計り知れない経済波及効果が期待されておりますが、特に本県は、東日本と西日本双方の市場を同時にねらえる絶好の場所に位置することとなり、企業にとって大変魅力的なところになると思われます。 企業誘致大作戦では百件の立地目標を掲げたのに対し、今年一月末現在の立地件数が九十四件となり、立地目標は近々達成されると思います。そこで、立地目標件数の大幅な引上げとともに、圏央道を最大限に生かした企業誘致も重要になってくると思われますので、県としてどのように取り組まれていくのか、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、道路網の整備についてお伺いいたします。 知事は、道路は行政の責任において整備すべき最も基本的な社会基盤であるとの持論の下、厳しい財政状況にもかかわらず道路予算を増額され、就任以来一貫して道路の整備に力を注いでこられました。 本県の交通渋滞は依然として激しく、渋滞による損失時間が全国で四番目に多い状況です。交通事故による死者数も、平成十六年こそ大幅に減少したものの、平成十七年には再び増加し、全国でワースト二位を記録するなど、大変憂慮すべき状況になっております。私は、道路整備を強力に進め、県民の皆様に、より一層安全で快適な生活環境を提供していくべきであると考えております。 しかし、高齢化や少子化は確実に進展しており、右肩上がりの成長は期待できなくなりました。社会資本整備費が減る中で、これからは相当工夫を凝らさないと道路の整備が進まないのではないでしょうか。そこで、このような厳しい状況の中でどのような視点で道路網の整備を進めていこうとしているのか、知事の御見解をお伺いいたします。 次に、埼玉の顔の見える農業振興についてお伺いいたします。 私は、上田知事が就任以来、農業は県民の健康と暮らしを守る生命産業であるとの認識に基づき、一千万円所得を実現する農家の育成を掲げ、農業生産の拡大や県産農産物の販売促進など、積極的な農政を進めていることを評価するものであります。また、我が国農政の在り方を根本的に見直し、担い手に着目した品目横断的経営安定対策が平成十九年から導入されることに伴い、本県でも集落営農の育成に積極的に取り組んでおります。こうした県の様々な取組に対し、農業関係者は大いに元気づけられるとともに、本県農業の活力も一層増してきております。 しかしながら、農業の現状には厳しい面も見られます。WTO農業交渉は、十八年中の最終合意を目指し、正念場を迎えておりますが、交渉の結果によっては、輸入農産物の一層の増加も懸念されます。国内産地では、生き残りをかけた産地間競争が今後一層激化していくことは必至であります。 このような中にあって、最近では本県の取組や生産農家の努力により、米の彩のかがやき、ナシの彩玉、香りのあるシクラメンなど、埼玉色の強い農産物が生まれてきております。私は、農家が創意工夫を生かし、額に汗して努力すれば、それが報われる農業をつくることが行政の最大の使命であると考えております。そのためにはきっちりとした基盤整備、あるいは優れた担い手づくり、さらには産地の育成などに努め、農業振興を図るとともに、埼玉県の特色を生かした顔の見える魅力ある農業を確立し、産地間競争に打ち勝っていくことが必要と考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、明日の埼玉を支える子どもたちの教育についてお伺いいたします。 まず、教育力の向上についてお伺いいたします。 昨年は、読解力の低下や不審者対策などが問題になりました。また、いじめや不登校、学級崩壊なども依然として大きな課題となっております。他方、少子化や都市化が進む中で、子供同士の良い意味での競争力が失われ、親の過保護、過干渉や放任、虐待が増加しております。また、子供たちの自然体験や生活体験の場が減少しております。このような中では、基本的な生活習慣や規範意識、思いやりなどの資質が十分には身に付きません。また、家庭や地域の教育力そのものが低下していることも大きな問題です。一人一人の子供の健やかな成長と明日の埼玉を担う人材の育成には、一にも二にも教育の充実が必要であります。また、家庭や地域全体の教育力の向上も大きな課題ではないでしょうか。 そこで、明日の埼玉を支える子どもたちを育てるための教育力の向上について、今後の取組の基本的な方向性や施策に対する教育長の御見解をお伺いいたします。 次に、高等学校における体験活動の充実についてお伺いいたします。 現在、県教育委員会では、外部評価の導入など教育改革を進めておりますが、その一方で、一年間に四千人近い高校生が学校を辞めてしまう中途退学問題があります。特に、入学して間もない一年生が中途退学者全体の六割を超える状況には驚かされます。また、中途退学の理由として、学校生活・学業不適応が六割近くを占めておることも問題であります。 信頼される学校づくりが求められている中、県教育委員会では、中途退学問題を重点課題に掲げ、その解決に向けて取り組んでいると聞いております。今年度、県立鶴ヶ島高等学校の一年生を対象に、地域の企業や福祉施設などでインターンシップを実施し、大きな成果を上げたと聞いております。中途退学者の多い高校に重点的に人や予算を投入するなどして、このような取組を積極的に支援することが重要であります。 そこで、中途退学問題の解決に向けて成果目標を具体的に定め、その実現のために集中的に体験活動を実施すべきと考えますが、教育長の御見解をお伺いいたします。 最後に、埼玉県の治安対策について警察本部長にお伺いいたします。 上田知事が提唱している県民の安心・安全の確保につきましては、先ほど申し上げましたとおり、私ども自由民主党も積極的に取り組んだ埼玉県防犯のまちづくり推進条例が施行となり、県におきましても、埼玉県防犯まちづくり推進計画、埼玉県防犯指針を策定し、積極的に取り組んできたところであります。この結果、自主防犯グループは、昨年十二月末まで二千四十一グループに上り、一昨年四月の四倍に増加しております。また、警察本部におきましても、増員された警察官や交番の統廃合を行って、余剰人員をパトロールに充てるなどして積極的に活動されたことで、昨年中の刑法犯が八年ぶりに約二万四千件も減少されたと報道されております。短期間でこのような成果を上げられたことは、誠にすばらしいことであると思います。 しかしながら、このように自主防犯グループの数は増え、犯罪の数値は減少しておりますが、世間では相変わらず凶悪事件が起き、連日のように報道されております。果たして、本当に県民が求める安心して安全に暮らせるまちづくりは実現されつつあるのかと考えますと、いささか不安がないわけではありません。私は、治安の悪化については様々な要因があると考えますが、積極的に県民の意見を取り入れながら、県及び県警本部が県民と一体となって新たな対策等を講じていく必要があるのではないかと思います。 そこで、お伺いいたします。 新聞等で報じられている刑法犯の減少について、具体的に減少した犯罪は主にどのようなものなのか。今後増員される警察官をいかに活用して、県民の安心・安全を確保していくのか。また、県民の生命や財産に直接危害を及ぼす重要犯罪について減少させるためにどのように取り組んでいくのか。警察本部長の御所見をお伺いいたします。 さて、警察官もけがもすれば病気にもなります。例えば交番勤務者が病気で長期欠勤、あるいは夜勤不能者が一人でも出ると、三交代制がたちまち崩れてしまいます。このような場合、署内での補充が困難なのが現状です。ここ数年間、全国一増員されたわけですから、本部直轄等の体制をつくり、このような地方交番に対して臨時派遣するような制度を考えていただきたい。 また、ここ数年間で全国一の増員が行われ、確かに数字の上ではゆとりができました。しかし、まだまだ真の県民から信頼される警察官に成長するには数年かかります。一方では、経験豊かな五十歳代後半の警察官が数年のうちに大量退職いたします。大量の若手警察官の教育、職場におけるベテラン先輩たちとの融和と信頼関係の構築に対しましてどのようにお考えか、警察本部長の見解をお伺いいたします。 以上で、私の自由民主党県議団を代表しての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手起こる) ○蓮見昭一議長 八十四番 秋谷昭治議員の質問に対する答弁を求めます。     〔上田清司知事登壇〕 ◎上田清司知事 秋谷昭治議員の自由民主党議員団を代表されましての御質問に、順次お答えをいたします。 まず、平成十八年度予算案についてのお尋ねのうち、成果を上げていくという観点から重点的に取り組んだ点は何かについてでございます。 私は従来から、行政の最も基本的な役割は、県民生活の安心・安全を確保することであると申し上げてまいりました。また、単なる縮小均衡に陥ることなく、県内経済の活性化を図り、県税収入を確保し、福祉や医療、教育などの充実を図っていく必要があると考えております。 そこで、平成十八年度予算編成に当たりましては、県民生活の安心・安全の確保や未来を担う人づくり、県内経済の活性化、緑の空間とゆとりの創造などに重点的に取り組んでまいりました。こうした中で、特に成果を上げるという観点から重点的に取り組む主な施策を挙げさせていただきます。 第一に、防犯のまちづくりの推進です。 警察官の増員につきましては、平成十八年度は三百三十人となり、六年連続で全国一の増員になりました。これまで全国ワースト一位であった警察官一人当たりの人口負担も六位に改善されました。また、自主防犯組織の数につきましては、平成十六年四月には五百十五であったものが、昨年末には二千四十一と大幅に増加しております。また、各事業者の皆様と防犯協定を結ぶなど、地域における防犯力の強化は確実に進んでおります。 これらの結果、刑法犯の認知件数は昨年八年ぶりの減少に転じ、前年比にして一三・四パーセントもの大幅な減となりました。検挙率につきましては、平成十四年に一二・八パーセントでありましたが、昨年は一九・八パーセントまで改善をしております。平成十八年度は、新たに空き店舗等を活用した民間パトロール拠点の整備を支援してまいります。また、地域や学校と連携した子供の安全対策を推進するなど、引き続き地域における防犯の取組に万全を期してまいります。 第二は、ニートや不登校、中途退学など青少年の課題への取組でございます。 これらの課題の背景には、青少年の実体験の不足や人間関係の希薄化があると指摘されています。そこで、教育委員会に対して、是非大胆な提案をしていただきたいと申し上げてまいりました。これを受け教育委員会からは、埼玉の子ども七十万人体験活動を実施したいとの提案がございました。子供の社会への適応力を高めるため、様々な社会体験や奉仕活動を徹底して行うというものでございました。 そこで、私は、重点的に取り組む課題を明確にすることを前提に予算措置を行ったところでございます。一つは、ニート、フリーター対策でございます。就職や進学など子供たちの進路希望に応じた体験学習を重点的に実施いたします。これにより、子供たちの自分の進路に対するしっかりとした考え方を養い、ニートの防止などに努めてまいります。また、中途退学防止の観点から、高校一年生の早い時期に体験学習を経験させ、高校生活に対するやる気と目的意識を引き出してまいります。こうした取組により、高校卒業時において進路が決定している生徒の割合や中途退学率の改善に努めてまいります。 第三は、県内経済の活性化です。 中小企業向け制度融資については、前年度と同額の四千億円の貸付枠を確保しました。これにより、様々な資金需要に万全を期してまいります。 また、昨年から実施しております企業誘致大作戦により、本年一月には企業立地件数は九十四件となっております。本県には、首都圏の中で圏央道がいち早く開通するという優位性があります。そこで、平成十八年度はインターチェンジ周辺での豊かな田園と調和する産業集積にスピード感を持って取り組んでまいります。 このほか、交通事故の防止や特別養護老人ホームの整備、保育所待機児童の解消などについても、確実に成果を上げるよう取り組んでまいります。 次に、財政の健全化についてでございます。 昨年二月に策定しました行財政改革プログラムを踏まえ、知事部局の一般職員定数を百二十人削減いたします。国は、五年間で五パーセントの純減を打ち出していますが、本県知事部局の一般職員定数は、既にここ四年で六パーセントの削減を行っておりますので、国の一・五倍のペースで行っているところであります。国は今打ち上げたばかりでありますが、埼玉県は既にやっております。 また、公共事業については、道路事業に重点化して一定の伸びを確保する一方で、公共事業費全体は引き続き抑制しております。 こうした取組の結果、最終的な収支不足額は五百三十六億円となり、前年度の五百七十一億円と比べますと三十五億円圧縮することができました。また、県債依存度は一六・三パーセントとなり、前年度の一六・八パーセントと比較して〇・五ポイント低下いたしました。私が知事に就任した当時と比較して二・八ポイントの改善ということになります。今後とも足腰の強い財政運営を確立するため、財政の健全化に努めてまいります。 次に、質問第二の新たな5か年計画についてのお尋ねでございます。 日本は、既に人口の減少が始まったといわれます。本県も、早ければ五、六年後に人口減が始まってくると考えられます。また、団塊の世代の高齢化に伴い、今後は全国一のスピードで高齢化が進むものと予想されます。このような時代の大きな転換期にあって、今後とも本県の活力を維持向上させながら県民生活をより豊かにしていくためには、時代の先を見据えた戦略的な取組が必要ではないかと考えます。 人口減少も高齢化も、確かに大変な面がございます。しかし逆に、環境にやさしい社会が構築できるのではなかろうかとか、団塊の世代をはじめとする高齢者が地域に戻ってくるのではないかとか、明るい見通しもないわけではありません。私は、こうしたプラス思考と、むしろ変化をチャンスに変える積極的な姿勢が大事であるというふうに考えております。その上で戦略ということになるわけですが、大きく言って四つぐらいにくくっていいのかなと考えております。 まず第一に、何といっても七百万人という豊富な人材力、人材層を生かすということでございます。県民やNPO、ボランティア、地域団体、企業などの力、一言で言えば地域力ということになるのかもしれません。この地域力を結集して全員参加で地域を支え、安心の成熟社会をつくっていくこと、このことが大事ではないかと考えております。 第二は、教育力を高め、次世代の持つ可能性を最大限に引き出すことではないかと考えます。少子化は、きめ細かな教育を行い、一人一人の能力、意欲を最大限に引き出す教育を進めるチャンスでもございます。明日の埼玉を担う子供たちの力を大きく伸ばし、チャレンジ精神をはぐくむ教育が大事になります。 第三は、民間の活力を徹底的に伸ばすということでございます。埼玉には、首都圏という地理的な優位性、高い交通利便性、多くの大学や研究機関の集積など、高いポテンシャルがあります。その利点をフルに生かし、また産と学の連携を進めながら民の活力を引き出し、持続可能な経済を実現したいと思います。 第四は、誰もが住みやすく、安心・安全な都市づくりや緑豊かな地域づくりを進めるということでございます。人口が減少すれば、人や企業が居住地や立地場所を厳しく選択する時代になります。街なかについても、効率的で利便性が高く、高齢者をはじめ誰もが住みやすいまちづくりを進める一方、郊外については、豊かな自然の保全、再生による魅力ある田園都市を創造することではないかと思います。こうしためり張りをつけた地域づくりをすることによって、住んでみたいとか立地してみたいとか、そういう埼玉づくりになるものと考えます。 新たな5か年計画は、こうした考え方に立って、明確な埼玉の将来戦略として位置付けて考えていきたいと思います。今後、県議会の皆様とともに幅広く議論をさせていただき、活力ある埼玉の実現に向けて前進してまいりたいと思います。 次に、御質問第三の積極的な税収確保についてのお尋ねでございます。 平成十八年度当初予算案における県税収入は六千三百三十八億円で、一般会計歳入の約三八パーセントと大きなウエートを占めております。こうした県税の増収を図るための中期的な戦略としましては、企業誘致を推進するなど県内経済の活性化が必要だと思います。 当面の県税収入の確保対策として、まず納税の面では、平成十六年度から三年間で納税率を二パーセント向上させることを目指しております。平成十六年度の決算では納税率が〇・八パーセント向上し、全国順位が四十六位から四十三位になり、伸び率としては全国で二位でございました。しかし、御指摘のように、納税率自体は全国で低位でございますので、これまで以上に積極的な納税対策が必要だと思っております。 滞納税額の圧縮を図るためには、滞納者への早期の折衝と滞納処分を徹底することが最も重要であります。そこで、例年八月末には、約二十万の滞納が生じている自動車税対策として、新たに県税催告センターを設け、九月、十月に電話で集中的に催告を行います。さらに、一人五百万円以上の高額滞納の整理を特別徴収対策室に一元化して、捜索や差押えなどの滞納処分の徹底を図ってまいります。税務職員が使命感を持って公平な徴収に努めることにより、県民の税に対する信頼が確保され、納税率の向上につながるものと考えております。 次に、課税の取組でございます。 適正な課税を推進するためには、課税対象の完全把握と申告内容の徹底調査を行うことが重要であります。このため、現場主義の視点に立って法人に対する帳簿調査や警察と連携した不正軽油の製造現場に対する立入調査、不動産評価などの実地調査を徹底して行い、税収の確保に努めてまいります。 三位一体改革によりまして、三兆円規模の税源が所得税から住民税に移譲されることが決定しておりますので、税収確保の重要性がますます高まっており、納税と課税の両面における取組を積極的に行ってまいります。 第四の大規模災害に備えた防災対策についてのお尋ねでございますが、災害から県民の生命、財産を守るために、あらゆる災害を想定し、考えられる限りの対策を実施することが極めて重要であると考えております。 そこで、私は、災害発生に即応できる体制づくり、徹底した意識改革と人材育成、実践的訓練の実施を基本とし、防災対策に全力で取り組んでまいりました。消防庁が発表した平成十七年度防災力自己評価では、本県は前回の六九・一ポイントから七八・四ポイントに上昇しました。これで、二年連続全国第二位となっております。 しかし、御指摘のように市町村の防災力自己評価結果は、県内平均で二〇・七ポイントと県に比べて低い水準にとどまっております。市町村においては、地震や水害などの被害想定や住民に対する防災教育の取組の遅れにより、このような結果になったのではないかと思います。私は、更に市町村の防災力を強化する必要があると痛感しております。このため現在、県では、各市町村が地域防災計画の見直しを進める中で、自主防災組織の育成や市町村危機管理リーダー養成研修の開催などを通じて、きめ細かな指導、助言を行い、防災力の強化に努めてまいります。 今後は、大規模地震に備え具体的な減災目標を盛り込む地震防災戦略の策定や、携帯電話を利用した避難情報伝達システムの整備などの取組を進めてまいります。大規模地震の切迫性が指摘されている今、行政は常に危機感を持ち、防災対策に取り組まなければなりません。いつ、どこで大規模な災害が起きても、瞬時に対応できるよう常に緊張感を持ち、県の防災対策の一層に強化に努めてまいります。 次に、救急医療体制の拡充についてのお尋ねでございます。 安心・安全なまちづくりを進めるためには、救急医療体制の整備が不可欠な要素でございます。昼夜を問わず県民の救急医療に当たっていただいている医療機関や医療スタッフの献身的な取組に対して、敬意を表する次第であります。 お尋ねの救命救急センターは、現在、地域バランスも考慮をし、県西部に七か所目の整備を進めているところでございます。さらに、県北地域など救急医療体制の充実が必要な地域につきましては、小型の救命救急センターの整備などを引き続き検討させていただきます。また、各地域の救命救急センターの機能を最大限に発揮するため、ドクターヘリの積極的な活用を進めてまいります。 次に、小児の救急体制でございますが、十六の救急医療圏のうち、現在十五地区で二次救急医療の体制が整備されております。残る一地区についても、実施に向けた最後の調整作業を進めているところでございます。併せて、二次救急医療の小児科医の負担を軽減するため、医師の確保などに充てる費用について、国の基準に上乗せして支援をしております。また、小児科医の数が限られている中、内科医などの御協力をいただくため、小児救急医療に関する研修も実施しております。引き続きこうした事業の充実を図り、各地域の関係者と協働して小児救急体制の強化に努めてまいります。 次に、周産期医療についてでございます。 初産年齢の高齢化などリスクの高い出産が増えたことにより、母体と幼い命を守る医療体制を整備する必要性が高まっております。このため、合併症や重症妊娠中毒症などの患者に対応できる周産期母子医療センターの整備を進めてまいります。現在、七か所目の施設をさいたま市内に整備しているところでございます。これらの周産期母子医療センターと各地域の産科の医療機関との連携を強化し、安心して県内で出産ができる体制づくりに努めてまいります。今後とも県民の安心・安全を確保するため、救急医療体制の拡充に向けて全力で取り組んでまいります。 次に、防犯対策について、-子どもたちの安全の観点から-のお尋ねでございます。 御質問に先立って、秋谷議員から深い哀悼の意が表明されました。正に、子供の安全が確保できない社会には明るい未来はないという議員の御指摘、全く同感であります。 子供を犯罪から守るためには、何よりも犯罪を許さない地域を築くことが重要であります。このため、まず警察力の増強が必要です。警察力の増強については、先ほども申し上げましたが、県議会の御支援をいただきながら国に対して強く増員を働き掛け、六年連続で全国一の増員が達成できました。 また、犯罪を地域からなくしていくためには、こうした取組に加え、行政、教育関係者、企業、地域住民など、県民総ぐるみの活動による防犯のまちづくりが大きな力となるのではないかと考えます。平成十六年二月定例議会におきまして、議員提案による防犯のまちづくり推進条例が制定されたところであります。この条例の趣旨を踏まえて、平成十七年六月には、警察や行政、また教育や企業の関係団体など六十八団体で構成する防犯まちづくり推進会議を設立するなど、防犯のまちづくりの推進体制を整えてまいりました。さらに、自分たちのまちは自分たちで守る自主防犯パトロールグループは、一年半で四倍と急速に増加しています。「わがまち防犯隊」という愛称も決まり、今後一層の拡充に努めてまいります。こうした取組により、平成十七年の犯罪発生件数が前年比一三・四パーセント減少するという成果になったものと考えております。 平成十八年度は、更に防犯のまちづくりの推進に取り組んでまいります。特に、子供を犯罪から守るために、犯罪情報を保護者にメールで配信するシステムを整備いたします。また、児童公園などに緊急通報装置、防犯カメラを設置する事業などを実施してまいります。今後とも教育委員会や警察本部、市町村、県民の皆様とともに緊密に連携をしながら、子供の安全を守るため全力で取り組んでまいります。 次に、超高齢社会における福祉施策についてのお尋ねでございます。 超高齢社会の到来は、悲観的なイメージがありますが、私は逆に、これからは知恵の時代ではないかというふうに考えております。知恵の時代では、健康でさえあれば、年齢には関係なく仕事を持ったり地域貢献活動をしたり、そうした高齢者は生き生きとしておられますし、年齢を感じさせません。 したがって、介護予防の本質は、高齢者の方々にいかにして仕事やボランティア活動、趣味の活動をしていただくかということにかかっていると思います。県は、市町村や関係団体と協力し、高齢者に様々な社会活動の場を提供し、指導者などの全県的なネットワークづくりに努力してまいります。 一方、高齢者の多くは、いつまでも家庭や地域で暮らすことを希望されております。そのため、市町村が行う二十四時間、施設と同等の福祉サービスが受けられる訪問介護や地域密着型の小規模多機能施設などの整備を促進してまいります。それでもなお在宅生活が困難な方々のために、セーフティーネットとして特別養護老人ホームなどの施設を引き続き整備してまいります。 次に、団塊の世代の福祉分野での活用についてでございますが、団塊の世代の多くは社会の最前線で活躍され、豊富な経験や幅広い知識、技術をお持ちです。退職後も新たに企業を起こしたり、農業や教育、防犯などの幅広い分野で活躍いただけるものと思っております。また、福祉分野の中でも、相談業務や経理事務など団塊の世代の方々の活躍の場は多いと考えられます。例えばシルバー人材センターでは、先進的な取組として子育て支援サービスや配食サービス、家事サービス等を始めております。また、県内のNPO法人のうち約六割を福祉・保健・医療の分野が占め、今後、団塊の世代の参加が期待されます。 そこで、県としてもシルバーサポーターなどのボランティアを養成するとともに、福祉関係のNPOの設立や福祉産業の創業支援を検討します。今後とも福祉施策の主体となる市町村に対する支援を進め、NPO、民間企業とも連携を図りながら、福祉施策の充実に努めてまいります。 次に、総合的な障害者施策についてのお尋ねでございます。 議員のお話にもございますように、この四月から障害者自立支援法が施行されます。この法律では、サービス提供の基盤の強化を図るため、NPO法人の参入を認めております。また、サービスの費用について国や県の負担を義務付け、制度の安定性、持続性を図ることとしております。さらに、身体障害者、知的障害者、精神障害者の三障害の一元化を図ったことなど、評価できるものと考えます。 この法律の施行に伴い、これまで以上に県と市町村が連携し、総合的、計画的な施策展開に努めていく必要があると考えます。このため、県では平成十八年度、彩の国障害者プラン二一を見直し、福祉サービスの目標量や確保策を盛り込んだ新たな計画を策定します。この計画には、福祉の分野にとどまらず、教育、労働、医療などの施策も幅広く盛り込んでおります。今後この計画に基づき、市町村と一体となって障害者の自立に向けた施策を総合的に推進いたします。 障害者の地域生活への移行を進めるため、在宅福祉サービスの一層の拡充とともに、地域福祉の拠点としての施設整備にも全力で取り組んでまいります。既に県独自で、心身障害者地域デイケア施設や市町村障害者就労支援センターなどの設置を進めてまいりました。さらに、平成十八年度からはグループホームの開設支援や体験入居の制度を新たに実施し、障害者の地域生活への移行を支援してまいります。 また、本県の障害者の雇用率は、首都圏の他の都県とともに全国平均と比べて低い水準でございます。そのため、国、市町村、関係機関と役割分担や連携方法を協議し、障害者の就労支援の強化に努めてまいります。場合によっては、ヤングキャリアセンター埼玉のように、障害者に特化した就労支援の窓口をつくることも一策かなというふうに今検討しているところでございます。私は、障害者自立支援法の理念であります、国民がお互いの人格と個性を尊重し、安心して暮らすことのできる地域社会の実現に向けて、これからも全力で取り組んでまいります。 次に、産業振興についてのお尋ねでございます。 まず、今後の産業振興の基本的な考え方についてでございます。 埼玉県は、産業振興についていえば、他県にない強みがあると私は考えております。まず、平均年齢が日本で二番目に若い。また、しばらくはまだ人口増加の傾向が続く。さらに、本県には高速道路網あるいは新幹線網などの大規模なインフラが整っていること。さらに、首都圏のつながる圏央道が他県に先んじて整備されること。こうした状況に加えて、本県の様々な中小零細企業においても、オンリーワン、ナンバーワンの技術を持った企業も決して少なくないという、そうした部分にも恵まれております。さらに、世界屈指の理化学研究所をはじめ各大学との連携も多くとられつつあります。そういう意味での産業振興の素地は十分あると私は考えております。 問題は、これらの強みを、正に相乗効果が出るような形で構築できるかどうか、このことにかかっているのではないかと思います。そこで、官の信用、民の活力の視点に立ち、県がつなぎ役になって、これまでも幾つかやってまいりました。具体的には、理化学研究所との包括協定の締結、知的財産総合支援センター埼玉の開設、産業技術総合センターによる産学連携の促進など、新技術や新産業を生み出す施策を進めてまいりました。私は、これらの取組によりまして、近い将来、必ずや大きな花が咲くものだというふうに思っております。 次に、当面どのような分野に力を注いでいくのかについてでございます。 まずは、第一に中小企業の振興が必要であると思います。特に、経済の血液ともいうべき金融の円滑化が極めて大事だというふうに思っております。制度融資については先ほども触れましたが、四千億円の融資枠を確保し、スーパーサポート資金などにより中小企業の多様な資金需要に対応してまいります。また、新たに産学連携支援センター、仮称でありますがこれを開設し、中小企業の技術革新や新製品開発などを強力に支援してまいります。 第二に、創業・ベンチャー支援でございます。創業・ベンチャー支援センターの開設により、多くの元気な企業が創業してきております。これからますます加速するものだと思います。この流れを更に確かなものとするため、創業・ベンチャー支援センターの新たな拠点となる新産学交流プラザ(仮称)の開設準備を進めてまいります。 第三に、企業誘致でございます。元気な企業を県内に誘致し、経済を更に活性化するため、引き続き企業誘致大作戦を実施し、産業の振興と雇用の確保に努めてまいります。また、圏央道が首都圏でいち早く開通するという本県の優位性を生かして、圏央道沿線での企業の早期立地にも取り組んでまいります。日本の中で第二番目に平均年齢の若い埼玉が元気にならないようだったら、日本はおしまいだと、こんなふうに私は思っておりますので、頑張ります。 圏央道を生かした企業誘致対策についてのお尋ねでございます。 まず、目標立地件数の大幅な引上げについてでございますが、企業誘致大作戦の目標である百件の立地件数につきましては、早期に達成できる見込みとなりました。目標立地件数の引上げにつきましては、企業ニーズに見合う用地の不足や企業からの引き合い状況を踏まえ、今後の見込みを早く精査するように事務方には伝えております。具体的には、おおむね五割程度引き上げられるのではないかと事務方で検討を進めているところでございます。近々、精査した上で御案内を申し上げたいと思います。 次に、圏央道を生かした企業誘致についてでございますが、圏央道の整備が進むことは、企業誘致を進める本県にとって絶好のチャンスであると考えます。このため、企業に対してはこれまで以上に積極的に圏央道の持つ魅力をPRしてまいります。また、立地を望む企業に対しては、オーダーメイド、クイックサービス、ワンストップで対応をしていきたいと考えます。 一方で、圏央道沿線の多くは豊かな田園地帯でもございますから、企業立地に当たっては、乱開発を防ぎ、秩序ある開発を進めていく必要がございます。田園風景など環境と調和した今後のモデル事例になるように取り組んでいきたいと考えております。この四月には、新たに田園都市産業ゾーン推進室を設け、圏央道沿線を中心に産業基盤づくりを計画的に進めてまいります。また、企業ニーズの高い(仮称)川島インターチェンジと菖蒲白岡インターチェンジの周辺地域には、先導的に企業誘致を図っていきたいと考えております。今後も関係機関や地元の市町村等との連携を十分に図り、民間の力を最大限活用しながら、スピード感を持って圏央道を生かした企業誘致を進めてまいります。秋谷議員はじめ、議員の皆様方の御支援、御協力を賜りますようにお願いをいたします。 道路網の整備についてのお尋ねでございます。 私は、一貫して生活道路の整備と幹線道路の整備を基本に道路の整備を推進してまいりました。そして、御承知のように公共事業全体は抑制しておりますが、あえて道路整備の予算を増額し、力を入れているところでございます。 お尋ねの、どのような視点で道路網の整備を進めていくのかというお問い掛けでございますが、私は三つの視点、一つは真に必要な道路を着実につくる、今ある道路を効率よく使う、また、道路を安全に保つ、この三つの視点が必要じゃないかというふうに思っております。 したがいまして、道路事業に対する評価制度を新たに立ち上げ、真に必要な道路に重点的に投資することで、スピード感のある道路整備ができると考えております。平成十八年度は、さらに将来を見据えた道路整備マスタープランの策定に着手し、着実につくる仕組みを整えてまいります。 一方で、現にある、今ある道路を効率的に使うという視点も大事ではないかと思います。既存の道路空間を活用し、高齢者が安心して歩ける空間や路線バスの停車空間を確保するなど、時代のニーズにかなった道路のリニューアルに力を入れてまいります。 最後に、道路を安全に保つという視点も大事であります。高度経済成長期を中心に建設されました橋りょう等の構造物が、近い将来一斉に老朽化時期を迎えて、維持管理や更新に必要な費用の増加が予想されております。この点について、緊急性の高いものから計画的に維持管理、更新することにより、トータルコストの縮減と年度間における事業費の平準化を図っていかなければならないと思っております。 どちらにしても、道路は県民の日常生活や社会経済活動を支える基幹的な社会基盤でありますので、行政の責任で整備するものだと考えております。今後も工夫を凝らしながら、県民の皆様の目に見える形で積極的に道路の整備を推進してまいります。 最後に、埼玉の顔の見える農業振興策についてでございます。 本県は、冬季の日照時間が日本一であるほか、地形的にも平野部から山間部まで変化に富み、地域ごとに特色のある多彩な農産物の生産が行われております。加えて、七百万人の県民をはじめ、四千万人の消費者を擁する首都圏に位置しております。そうした意味での立地条件にも恵まれております。正に、本県は田園と都市が共存できる有数の県だというふうに思います。 このような本県の特色を生かし、顔の見える魅力ある農業を確立するためには、まず、収益性の高い農業を実現し、農業者の方々の営農意欲を高めていくことが重要であります。そこで、私は知事就任以来、農業所得一千万円以上の経営体の育成に努めてまいりました。この結果、一千万円所得経営体は年々着実に増加しております。このような経営体をより多く育成するためには、ほ場やかんがい施設などの基盤整備、さらに新品種や新技術の開発普及などが必要であり、現在積極的に推進しているところでございます。 また、消費者の方々には、安全・安心で新鮮な埼玉の農産物のすばらしさを一層理解していただくことが必要であります。このため、彩のかがやきをはじめ、県産農畜産物の積極的なPRを進めるとともに、深谷ねぎや狭山茶などに続くブランド農産物づくりを進めているところでございます。 また、私はかねてから、工業製品だけではなく、本県の農産物もメイド・イン・ジャパンとして世界に通用するものだというふうに考えております。去る二月十五日には、農業団体等と連携して埼玉農産物輸出促進協議会を立ち上げたところでございます。県産農産物の魅力を広く世界に発信していきたい強い意欲を持っております。今後とも本県の特色を最大限に生かしながら、埼玉の顔の見える農業の確立に努め、産地間競争に打ち勝っていきたいと考えております。     〔稲葉喜徳教育長登壇〕 ◎稲葉喜徳教育長 御質問六、防犯対策についてのうち、私に対する御質問にお答えを申し上げます。 子供たちにとって、学校や地域は本来安全であり、安心して生活できる場でなくてはなりません。凶悪な犯罪が懸念される現在、子供たち自身の防犯意識を高めることや地域の方々の協力をいただくことが重要であり、その対策が求められております。 そこで、県では子供たち自身の防犯意識を高めるため、平成十八年度事業として、これまでつくられた安全マップの見直しを進めることとしております。地域安全マップにつきましては、既に各小学校で作成されておりますが、多くの場合、教員や保護者といった大人の視点からつくられております。今後は、安全マップ改善の手引を刊行し、この手引に基づいて、犯罪が起こりやすい場所や子ども一一〇番の家などを子供が自ら調べることなどを通して、子供の視点から見直しを進めてまいりたいと考えております。 また、ビデオ教材を新たに開発し、小学校低学年児童を対象として、登下校時に不審者に遭わないための心掛けや、万一遭ってしまった場合の対処法などを示し、児童の防犯意識の醸成を図ることとしております。また、このビデオは保護者の防犯意識を高めるためにも活用することとしております。 次に、地域の方々の御協力をいただくことについてでございますが、子供たちの安全を守るには、学校だけでは限界がございます。現在、学校安全ボランティアとして地域のいろいろな方に支援していただいておりますが、更により多くの方々に参加していただくことが必要となっております。そこで、県では国の事業を受け、学校安全ボランティアを直接指導するスクールガードリーダーを現在の十三の市と町から、平成十八年度には県内すべての市町村に配置することとしております。このことにより、より多くの方々の力を子供たちの安全のために結集したいと考えております。秋谷議員御指摘のとおり、子供の安全を守ることは私たちの責務でございます。今後とも市町村や関係諸機関と協力して、地域ぐるみで子供たちの安心・安全が図れるよう全力で取り組んでまいります。 次に、御質問十三、明日の埼玉を支える子どもたちの教育についてでございます。 まず、教育力の向上についてでございますが、御指摘のように、学力低下の懸念、問題行動の深刻化、家庭や地域の教育力の低下など、教育をめぐる課題が依然山積しており、現状を厳しく受け止めているところでございます。こうした課題を解決するためには、学校、家庭、地域の三者がそれぞれの役割を十分に果たさなければなりませんが、まず、その先頭に立つのが学校であることは申すまでもございません。 そこで、学校教育では、確かな学力、豊かな心、健やかな体をバランスよく育成するという原点に立ち、教育に関する三つの達成目標を引き続き取り組んでいくこととしております。また、子供の教育に直接携わる教員の資質向上が何よりも重要でありますことから、平成十八年度、新たに二十年経験者研修を立ち上げ、年次研修を一層充実させ、教員の更なる資質向上を図ってまいります。 さらに、家庭や地域の教育力の低下という課題に対応するため、現在、モデル的に元気な学校をつくる地域連携推進事業を実施しておりますが、この事業は、学校と家庭、地域の橋渡し役となるふれあい推進長が中心となり、地域ぐるみで学校を応援する学校応援団の協力の下、多彩な活動が展開され、大きな成果が上がっております。今後このモデル事業の成果を踏まえ、学習指導や学校行事に保護者や地域の方々がこれまで以上に積極的にかかわっていただけるような施策を展開してまいります。 次に、高等学校における体験活動の充実についてでございます。 本県公立高等学校の平成十六年度中途退学率は二・九パーセントで、全国平均を〇・九ポイント上回っており、中途退学問題の解決は、教育行政の最重点課題の一つでございます。県では、この中途退学率を平成二十年度までの三年間で二・〇パーセント以下に減少させる数値目標を設定し、中途退学防止に向けた特別対策を実施することといたしました。 本県の中途退学の特徴といたしましては、学校生活や学習に熱意がないなどの学校生活・学業不適応が多いこと、一年生の中途退学が全体の六割に及ぶことなどが挙げられます。中途退学を防止するためには、中学校での進路指導や入学者選抜方法の改善など、中学校と高校の接続の在り方を検討するとともに、入学後の生徒の適応指導に力を入れることが重要であると考えます。 そこで、体験活動を活用した適応指導の効果を検証するため、平成十七年度、試行的に県立鶴ヶ島高等学校でインターンシップ事業を実施いたしました。同校からは、昨年十二月末現在で中途退学者が二〇パーセント減少するとともに、「進路希望を明確にする生徒が増えた」「働くことで重要なのはルールを守ることとする生徒が増えた」などの報告を受けております。この一年生全員を対象とした五日間の就業体験は、中途退学防止に効果が認められますので、平成十八年度は五校を指定して重点的に実施してまいります。また、非行、問題行動に起因する中途退学もございますことから、生徒の立ち直りを支援するための体験活動も、別途五校を指定して実施してまいります。これらの特別な体験活動プログラムを実施する高校においては、具体的な数値目標を設定するなどして、中途退学の防止に成果が上がるよう積極的に取り組んでまいります。     〔加地正人警察本部長登壇〕 ◎加地正人警察本部長 御質問十四、埼玉県の治安対策についてお答え申し上げます。 まず、平成十七年中の刑法犯の減少についてでございますが、議員御指摘のとおり、自主防犯活動の高まりなどもございまして、近年一貫して増加基調にございました刑法犯の認知件数は、八年ぶりに減少に転じたところでございます。 減少いたしました刑法犯約二万四千件の主な内訳でございますが、路上強盗、ひったくりなど、いわゆる街頭犯罪が前年比で一万五千四百四十件、一七・四パーセントの減少、侵入盗が三千三百三十九件、前年比で約一四・七パーセントの減少をしております。 次に、県民の安全・安心を確保するための増員された警察官の活用方策についてでございますが、県警では、平成十三年度以降増員されました警察官の八割以上を警察署に配置いたしまして、そのうちの約半数を交番、パトカーなどの部門に充てて、街頭活動の強化に努めてきたところでございます。これは、県警の行いました県民意識調査で示されました、「パトロールを強化してほしい」と、「交番に人がいてほしい」というような県民の声を踏まえたものでございまして、今後とも県下の犯罪情勢や県民の皆様の御要望を踏まえた体制の強化を図りまして、県民の安全・安心の確保に努めてまいりたいと存じております。 次に、県民の生命や財産に直接危害を及ぼす重要犯罪を減少させるための取組についてでございますが、平成十七年中の重要犯罪の発生は一千四百八十一件でございまして、前年比四百七十件の減少、率にいたしますと二四・一パーセント減少いたしておりますとはいえ、まだまだ高い水準で発生をいたしておりまして、県民に大きな不安を与えているところでございます。 こうした減少傾向を安定軌道に乗せるため、平成十八年から、強盗、強姦、強制わいせつなどを重点的に抑止を図る犯罪というふうに指定いたしまして、検挙活動と防犯対策を両輪とする総合的な抑止対策を強力に推進しておるところでございます。具体的には、引き続き県や市町村とも連携いたしまして、地域の防犯ボランティアに対する継続的な支援を図るなどの防犯のまちづくりを推進するとともに、制服警察官による街頭活動の強化はもとより、専従捜査員による集中的な捜査活動などによりまして、検挙の向上を図っております。このため、本年二月一日に警察本部に犯罪抑止対策室を新設いたしまして、県下警察署におけるこうした対策の検証と必要な指導、調整あるいは支援を行うなど、警察本部と警察署が一体となった対策の推進を図っているところでございます。 次に、増員された警察官による交番の三交代制維持のための御提案についてでございます。 交番勤務員が、けがや病気などによりまして長期に交代制勤務ができなくなった場合には、交番勤務員は交番での勤務以外に、いろいろな警察署での補助的な勤務等がございますので、大変に署の運用が困ることになります。したがいまして、こうした場合には、人事措置によりましてこうした要員を補充するという形で配慮をいたしておりますほか、警察署におきましては、刑事課員の交代制勤務の導入を図るなど当直体制の強化に努めておりまして、夜間の交番体制の補完に意を尽くしているところでございます。 また、御指摘の本部員による交番の活動に対する支援についてでございますが、本部の自動車警ら隊あるいは機動捜査隊などの執行隊が県下全域であらゆる事件、事故に対応するなど、一線の支援の役割を果たしているところでございまして、これにつきましても、犯罪情勢や署からの要請などにこたえまして集中的に運用するなど、めり張りのきいた支援を行っておるところでございます。 また、捜査などの専門知識を要する部門におきましては、本部の特捜班員などの捜査員を県下警察署に派遣するなどの支援も行っているところでございまして、これらの部門につきましても、引き続き体制の整備に努めてまいりたいと思っております。 最後に、若手警察官の教育、職場におけるベテラン警察官との融和と信頼関係の構築についてでございますが、現在、大量に採用されております若手警察官の育成は、第一線の治安維持力にかかわる重要課題であるというふうに認識をいたしております。 そこで、若手警察官の早期戦力化に向けまして、警察学校におきましては、将来にわたる礎となる使命感を植え付けつつ、現場の執行力を身に付けさせるため、現場想定型の実践的な対応要領を取り入れるなどいたしまして、教養、訓練を徹底しているところでございます。 一方、職場である警察署におきましては、若手警察官個々に経験豊かな指導担当者を充てまして、交番はもとより、刑事課における研修におきましても、マンツーマンによる業務指導、あるいは警察官としての心構えの指導などを行っておるところでございます。さらには、生活相談などによりまして先輩警察官との融和と信頼関係の構築に配意しているところでございます。さらに、経験豊かな警察官OBを交番相談員に充てるなどいたしまして、交番に配置されました若手警察官に対しまして、ベテラン警察官の知識経験の伝承にも努めているところでございます。 以上お答えいたしましたけれども、議員の、今後の県下の治安対策におきまして、警察が県や県民と一体となった取組が必要だという御指摘につきましては、全く同感でございまして、これからそうした方向でしっかりと取組を続けていきたいと存じております。          ---------------- △休憩の宣告 ○蓮見昭一議長 暫時、休憩いたします。午前十一時四十七分休憩          ----------------午後一時一分再開  出席議員   九十名   一番   二番   三番   四番   五番   六番   七番   八番   九番   十番   十一番  十二番   十三番  十五番  十六番  十七番   十八番  十九番  二十番  二十一番   二十二番 二十三番 二十五番 二十六番   二十七番 二十八番 三十一番 三十二番   三十三番 三十四番 三十五番 三十六番   三十七番 三十八番 三十九番 四十番   四十一番 四十二番 四十三番 四十四番   四十五番 四十六番 四十七番 四十八番   四十九番 五十番  五十一番 五十二番   五十三番 五十四番 五十五番 五十六番   五十七番 五十八番 五十九番 六十番   六十一番 六十二番 六十三番 六十四番   六十五番 六十六番 六十七番 六十八番   六十九番 七十番  七十一番 七十二番   七十三番 七十四番 七十五番 七十六番   七十七番 七十八番 七十九番 八十番   八十一番 八十二番 八十三番 八十四番   八十五番 八十六番 八十七番 八十八番   八十九番 九十番  九十一番 九十二番   九十三番 九十四番  欠席議員   一名   二十四番  地方自治法第百二十一条の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(都筑) 副知事(齋藤)   出納長      総合政策部長  総務部長   危機管理防災部長 環境部長    福祉部長   保健医療部長   産業労働部長  農林部長   県土整備部長   都市整備部長  公営企業管理者   病院事業管理者  教育長     警察本部長 △再開の宣告 ○蓮見昭一議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。          ---------------- △質疑質問(代表)(続き) ○蓮見昭一議長 質疑質問を続行いたします。 公明党代表 五十九番 畠山清彦議員     〔五十九番 畠山清彦議員登壇〕(拍手起こる) ◆五十九番(畠山清彦議員) 五十九番、公明党の畠山清彦でございます。公明党議員団を代表して、通告に従い、順次質問をいたします。 「環境が何だ。私が環境をつくるのだ」、これは、かのナポレオンの言葉であります。 二年半前、上田清司知事は、「官から民へ」をキャッチフレーズにさっそうと埼玉県政に登場いたしました。以来、冒頭の言葉のごとくに走り、三度目の予算編成を迎えられたのではないでしょうか。 片や国政でも、小泉政権が、さきの衆議院選挙で「官から民へ」を旗印に圧勝し、その流れはますます加速化しております。上田知事が唱えた方向へ、社会が大きく進んだ二年半だったと思います。 その一方、改革の進行に伴って、競争至上主義の社会へと押し流され、社会の二極化、すなわち格差が広がっているのも現実です。さらに、「下流社会」「希望格差社会」というタイトルの本が話題になるなど、格差は経済格差だけでなく、意識の変化にも及び始めています。 だからこそ、もう一度日本の良き伝統である情緒を取り戻し、卑怯なことはしない、弱い者いじめはしないなどが当たり前だったころの日本人の品性を取り戻そうとの藤原正彦氏の著書「国家の品格」の主張が、心に飛び込んでくるのかもしれません。ゆえに、政治の果たすべき責任は一段と重くなってきております。 私ども公明党は、かねてより、改革の遂行にはセーフティーネットを併せ持たせなければならないと訴えてまいりました。新年度予算案の印象を申し上げれば、厳しい財源の中でも、将来に明るい希望を持たせるために必死に投資型の編成にしたなと感じます。しかし一方では、セーフティーネットが十分なのかとの懸念を持つのであります。 上田知事は、当選後初の議会での私の質問を覚えていらっしゃるでしょうか。冒頭、私は、上田知事が知事選の遊説において、タクシードライバーの収入と国会の公用車運転手の収入との違いを訴え、県民の共感を強く得たとのエピソードを紹介いたしました。今こそ、その原点に立ち返るべきです。私は、今の社会が格差社会であるとの認識を持っておりますが、知事の御所見をお伺いいたします。その上で、県としてセーフティーネットをどう構築するのか、お伺いいたします。 次に、行政改革と予算編成についてですが、我が党は昨年の十月十八日に上田知事に対し、平成十八年度予算編成に関する要望書を提出いたしました。その際、盛り込むべき視点として、第一に税金の無駄遣いの徹底したチェックを挙げました。この点につきまして、我が党はかねてより、事業の主体がどこにあるのかという事業仕分けの重要性を主張してまいりました。 本県では一昨年度、県政改革三つの挑戦の一環として、二千三に上る県の全事業の総点検を実施いたしました。その点は評価するものであります。知事は昨年の六月定例会では、総点検で課題となった点を見直し、平成十八年度の予算編成、組織編成の過程で反映させていくことを、昨年の九月定例会では、原点に立ち返っての見直しの重要性を主張しておられます。新年度予算では「仕事編成」がクローズアップされていますが、基となる事務事業の見直しはどのように進められ、どのような成果を上げたのでしょうか、知事にお伺いいたします。 次に、「仕事編成」について伺います。 この概念は、ある意味で、従来の分権型一律キャップ方式の予算編成からの脱皮とも言えます。というのは、従来の予算編成では、予算額が小さいものは部局内で淘汰され、知事の選択にも上らないケースもあります。例えば、私が提案し、平成十年度から彩の国さいたま芸術劇場で行われた「拾年百日亭」は、行政が行う日本で唯一の若手落語家の登竜門でしたが、平成十六年度に七年七十日亭で終わってしまいました。幸い、職員の御努力により年四回の落語会に引き継がれております。 このように分権型一律キャップ方式では、予算額の小さなものは、例えば採算性の合わないものは切るという名目の下に、その事業の重要性を部局を超えて検討する機会がありません。今回の仕事編成で、「予算ありきで仕事をする」という思想から、「事業予算ゼロベースでも仕事はできる」へ発想の転換がなされたことは、大変意義あることだと考えます。 しかしそれ以上に、指定された九十三の事業が、知事の下で部局を超えて徹底的に議論されたことの方が重要と考えております。私は、県民の求める真の選択と集中は、部局を超えてアプローチするところにあると考えます。また今後は、職員が九十三事業に限定せず、すべての事業において仕事編成の視点、職員が汗を流し知恵を出すとの精神で取り組むことがより一層重要と考えます。知事の御所見をお伺いいたします。 次に、知事の人事評価について伺います。 今議会では給与条例の改正案が上程されております。改正点は、給料表の見直しと地域手当の新設などです。また、年功序列ではなく、実績に応じた昇給制度への転換も図っています。 さて、そうなりますと重要なのが職員の実績の評価になります。知事は、「日本一の安心・安全の県づくり」などの表を知事室に張り出し、全庁一丸となって成果を上げることに努力されています。その姿勢は大変評価されるべきものですが、事業の中には、成果が数値としてあらわれないものもあります。例えば、児童相談所や婦人相談センターなどの相談業務です。一時間も二時間も話を聞いて、自殺を思いとどまらせたという話などは枚挙にいとまがありません。成果が数字としてあらわれるものは評価しやすいですが、そうでないものは評価しづらいものです。このような、数字にはあらわれないが汗をかいた分をどう評価するか、ここがリーダーの真骨頂です。上田知事の取組についてお伺いいたします。 ところで、我が党はかねてより二十一世紀を女性の世紀ととらえ、女性のより一層の社会参加を強く訴えてまいりました。「もったいない」という言葉を再発見してくれたケニアのマータイ博士も、女性ゆえの感性から、日本人が本来持つ品性を思い出させてくれたのではないでしょうか。女性がその母性としての特性を十分発揮し、男性がその意思を尊重しながら共に社会を担っていくことこそ、男女共同参画社会ではないでしょうか。 さて、全国に先駆けて男女共同参画推進条例を制定した本県はどうでしょうか。行政の場こそ、率先してそれを実現しなければなりませんが、ある職員は、「主査級昇任試験では女性の成績が良く優秀な方が多いのに、管理職となると少なくなる。様々な責任や渉外的な機会が重荷になるのだろうか。あるいは、女性だから余り先頭に立つべきではないという考えがあるのだろうか」との懸念を漏らしていました。 しかし、これからは行政のすべての面でその能力を十分に活用できるよう、幹部職員にも積極的に女性を登用すべきと考えます。知事は対話を重視され、幹部職員とも一人一人面談されていると聞いております。こうした面談を通して、知事は女性管理職をどのように登用しようとお考えなのでしょうか、お答えください。少なくともこの壇上には女性が一人もおりません。そのことを申し添えて、次の質問に移ります。 我が団は、予算編成第二の視点として、埼玉経済の活性化を挙げております。企業誘致について言えば、一月末で立地件数九十四件という成果を上げております。私は、昨年の二月の労働商工委員会で県内企業に偏っていると指摘いたしましたが、今回の内訳は、県内企業、県外企業とも四十七件で同数です。先週視察した愛知県が、平成十六年度実績で五十八対十で圧倒的に県内企業が多いのと比べると、職員の懸命な訪問活動のたまものと敬意を表するものであります。また、創業・ベンチャー支援センターについても、一月末の利用者数が累計で二万九千人を超え、創業者数も二百八十三名と大きな成果を上げております。これらを評価した上で、産学連携の推進とインドとの経済交流について伺います。 まず、産学連携の推進についてですが、知事は、県がそのつなぎ役を果たすべきと主張しております。私も、かねてより県がコーディネーター役を果たせと申し上げてきました。今月の九日、十日に開かれた「彩の国ビジネスアリーナ二〇〇六」では、産学連携コーナーも設置されており、九日の一日だけで七百人も訪れたと担当室長は語っていました。今回の目玉は、本県にある大学のほか、東北大学など東北勢の出展にあったようです。いよいよ県は本気になってきたなと感じたところです。そこで大事なことは、中小企業の方々、中でも零細だが開発意欲のある企業の目線で、産学連携に参画しやすい仕組みをどうつくるかです。知事の御所見をお伺いいたします。 次に、インドとの経済交流ですが、インドは御存じのとおり仏教発祥の地です。漢字を伝えた中国同様、日本人の精神や日本文化の形成に深く影響を与えた恩ある国の一つです。人口も十億人を超え、世界最大の民主主義国家です。カースト制という難しい一面もありますが、市場も徐々に開放されており、現在最も注目されている国です。 横浜市は、新年度五百万円を計上し、経済局が主導で長期的なアジア戦略を展開していくと伺っています。特にインドについては、民間団体と連携しながら進めていくと伺いました。 過日、私は、ソニックシティにある埼玉国際ビジネスサポートセンターを視察いたしました。インターネットを駆使して県内企業の海外企業とのアライアンスや世界への情報発信に成果を上げております。県内には、先日知事と訪問したフジノン株式会社をはじめ、世界に発信している企業がたくさんあります。超硬合金や精密金型を生産しているホッカイエムアイシー株式会社も視察いたしました。そこには、既にロシア、インドから視察団が見えているようです。インドから来た経営者の中には、企業提携の話を持ち出した人もいたようです。物づくりを中心に、本県は世界から注目を浴びつつあります。 今月インドを訪問した我が党の高野博師参議院議員によると、大量の国内市場とIT技術、医療技術の高さが魅力で、将来性ある国だとのことです。そこで私は、インドに対しても知事が先頭に立ち埼玉の魅力を訴え、企業間の提携を提案すべきだと考えます。知事の御所見をお伺いいたします。 次に、予算要望第三の視点として挙げた少子化対策について伺います。 御存じのとおり、我が党はいち早く少子化対策に取り組んでまいりました。国においては新年度から、我が党の取組で児童手当が小学校六年生まで支給されることになりました。今後の視点として、子供の幸せや子育ての安心が最優先で確保されなければならないと我が党は考えております。 そこで、少子化対策は、結婚、出産、子育てを阻害する要因を排除することであり、若年者の雇用対策、周産期医療の充実や不妊治療への助成、乳幼児医療費無料化の拡大、子育て支援策の拡充、住宅施策、教育費の軽減など、福祉部の枠を超えて取り組むべきものと考えます。そこで、今後(仮称)少子化対策局を設け、これまでのすべての施策を検証し、全庁的に取り組むことを提案します。知事の御所見をお伺いいたします。 次に、青少年健全育成のために勇気ある規制をについて伺います。 我が党は、かねてからチャイルドファースト社会、子供優先社会の実現のために、いわゆるピンクチラシの取締りや残虐テレビゲームに対する規制、薬物乱用防止などに取り組んでまいりました。上田知事はじめ執行部の御努力により、一定の成果を収めていることは周知のとおりです。 しかし、社会を見渡してみてください。いまだ有害図書を分別陳列していない店舗、平日の午前中から営業しているゲームセンター、二十四時間営業のカラオケボックス、二十四時間営業の店舗、それらにたむろする子供たちなどなど、住宅街に明け方まで開けているお店が本当に必要なのでしょうか。私たちが求めてきた社会はこのようなものだったのでしょうか。利潤と利便を追求する余り、大事なものを失ってきたように思います。真の意味で子供のことを考えた社会だったら、こうはならなかったと思うのは私一人だけでしょうか。 私は、ゲームセンターの平日午前中の営業自粛、コンビニなどにおける二十四時間営業の自粛など、知事が勇気を持って関連の各業界に呼び掛けるべきと考えます。これこそチャイルドファースト社会の実現だと思うのですが、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、「教育立県・埼玉」を目指して、伺います。我が党の予算要望第四の視点です。 教育立県・埼玉の構築を私が初めて提唱させていただいたのは、平成七年十二月定例会であります。以来十一年間、熱き思いをこの議場で九度にわたって述べてまいりました。教育立県・埼玉とは、家庭、学校、地域、社会が力を合わせ、県内のダイヤモンドの原石をみんなで磨いていこう、そのための温かな社会にしようとの理念であります。 上田知事も、日本一の教育立県を目指すとの決意に立たれ、新年度予算に体験活動の推進や家庭教育への支援などに積極的に取り組んでいることは、その理念の実現にほかならないと意を強くいたしております。特に、今日まで奮闘されてこられた稲葉教育長をはじめ関係者の皆様に、感謝と敬意を表します。その上で、より一層の取組のために、新たな提案を含め質問させていただきます。 まず、教員の資質の向上について伺います。 私は、たびたび、偉大なる教育者牧口常三郎先生の「教師こそ最大の教育環境である」との言葉を紹介させていただきました。新年度には、教師養成塾をスタートさせると伺いました。私は、そのモデルとなっている東京都の教師養成塾の取組を早速伺ってまいりました。即戦力の教員を養成する、その世代の核をつくるという点で大きな効果を上げているそうです。本県の取組に大いに期待するものです。 ところで、東京都は新年度から、五年次から十年次くらいの教員を対象に教師道場を開くそうです。これは、八人の同一教科、同一講師の教員と二人の助言者を一つの班として、部員四百名と助言者百名が相互研さんを軸に二年間にわたって行うものです。自身の授業力のアップと他の教員を指導する能力、資質を高めようとするものです。 本県は、他県に先駆けて五年次研修を実施しておりますが、数回の講習を中心としたものです。二年間の継続的な取組は、より効果が期待できます。私は、本県でも教育局主催の(仮称)教師塾を開設すべきと考えますが、教育長に御見解をお伺いいたします。 ところで、私は、教師の資質向上には、授業力という技術の向上も大事ですが、それ以上に教師の人間力が大切だと考えています。人間力を磨くのは、実践でしかありません。それも、吉川英治氏のように「我以外皆我師」との謙虚な姿勢を持っていることが必要でしょう。 過日、私は県立大宮高校に赴き、校長とお話をいたしました。その校長が赴任して初めて行ったことは、自らの授業を他の教員に見せることでした。その後、すべての教員の授業を参観したそうです。その上で適切なアドバイスをされました。本年度は、すべての先生が生徒からの授業アンケートをとる取組をいたしました。生徒が自分自身の授業態度を五段階で評価した上で、教科担当の教員についても、「授業の難易度レベルは適当である」など十二項目にわたって五段階で評価します。余りの評価の低さに転勤を申し入れた教員は、校長の激励を受け、後期のアンケートでは見事に評価が高まったと伺いました。さらに、感動したのは、校長自身が教員から評価をアンケートでとり、学校経営に生かしていることです。 かつて私は、児童生徒の目など、六つの目からの総合的な評価制度を提案いたしました。新年度からは新たな評価制度を導入すると聞いていますが、県立高校では生徒による授業評価も積極的に取り入れるべきでしょう。もちろん、評価制度の目的はモチベーションを下げることではなく、評価を前向きにとらえ、教員自身が成長しながら、公教育全体の底上げをすることにあると考えます。教育長には、教員の評価制度の意義、目的を踏まえて御見解をお答えいただきます。 先日、私は、ある市の教育委員会事務局職員からこんな話を伺いました。彼が中学校で担任を持っていたころ、一日一軒家庭訪問をして帰ろうと決意し、実践していたそうです。ある日、問題行動がある生徒の家に行った際、びっくりして出てきたお母さんに、「今日、A君はこんなすばらしいことをしてくれました。先生は本当に感動したので、お母さんに伝えに来ました」と言ったそうです。びっくりしたお母さんはA君を呼ぼうとしたそうですが、彼はそのまま帰ったそうです。翌日からA君の態度はすっかり変わりました。感動したお母さんがA君に語ったに違いありません。 私は、四年前の二月定例会で日常的な家庭訪問運動を紹介させていただきました。教育長どうでしょうか、そろそろ本県は徹底的に家庭訪問運動を始めませんか。ここで大事なことは、担任任せにするのではなく、校長が先頭に立ち、互いに連携をとりながら学校ぐるみで取り組むことです。四万人の教員が毎日のように一軒寄って励まして帰れば、大きなうねりとなります。何とすばらしいことでしょう。これこそ、教育立県の姿ではありませんか。教育長の御決意をお伺いいたします。 私は、今二人の先生のお話をさせていただきましたが、本県には日夜懸命に奮闘されている先生方がたくさんいらっしゃいます。きっとそれらの方々は、卒業後も児童生徒の胸にいつまでも残っているに違いありません。これら現場の教職員の皆様に、心から感謝を申し上げます。 今、人間教育の原点である師弟の関係が見直されております。教師の「師」は、師匠の「師」です。師とは、人生の道しるべです。そして、私たちは心に残る担任を恩師と呼びます。教員は、採用された時点で恩師になるチャンスを与えられています。教育は、そのようなすばらしい仕事なのです。だから、教育は聖職です。なったからには、その覚悟で取り組んでもらいたいものです。 現在教鞭をとっている先生方にはすべて、あの先生のような先生になりたいと思った原形、すなわち恩師がいたと思います。哲学者オルテガは、「最も重大な人間の欠点は忘恩である」と喝破いたしました。「青は藍より出でてなお藍より青し」との言葉どおり、恩師に報いるには、恩師を超えるしかありません。私は、本県の教育者は、常に原点に戻り、全員が教員から教師へ、そして恩師へをモットーに取り組むべきと考えますが、教育長に御所見をお伺いいたします。 一方、先生方がどんなに努力されても、家庭の教育力が弱まっていたのでは実を結びません。百ます計算で有名な陰山英男先生は、早寝、早起き、朝御飯の大切さを訴えています。日本大学の森昭雄教授は、テレビゲームのやり過ぎに警鐘を鳴らしております。脳の進化に逆らった子育てが、平然と車内で化粧をする脳にしてしまうとの澤口俊之北海道大学教授の説もあります。いずれにしても、家庭の教育力の低下が危ぐされております。 この課題を解決するために、親に対する学習の重要性が指摘されているところです。教育局は、新年度予算に「親の学習」研究開発・推進事業を計上しておりますが、その先進事例に当たる大阪府の親学習の取組を先週視察してまいりました。 中高校生、乳幼児期の親、学齢期の親、子育てを終えた世代と四世代に分け、それぞれグループごとに参加型の教材を使い、対話とゲームなどで自ら学ぶプログラムでございました。答えを一方的に押し付けるのではなく、参加者が互いに対話の中から自らに気付かせていく取組は、地道で確かな手ごたえを感じているようでした。しかし、実施に当たっての課題は、やはりここに参加しない親への支援をどうするかということでした。 さて、本県は新年度プログラムの開発を中心に事業展開されるようですが、どのような理念と目線でプログラムを策定するかが重要となります。一方、考えている場合ではないほど深刻な事態になっておりますので、スピーディーなプログラムの実行が求められるところです。教育長の取組への御決意をお伺いいたします。 ところで、京都大学霊長類研究所の正高信男教授は、「ケータイ依存は思考力を衰退させ、家族を崩壊させる危険性がある」と警告しています。ネット社会は便利ですが、現実とバーチャル社会との境をあいまいにする。言い換えれば、私という認識をあいまいにさせる危険性をはらんでいます。それゆえ、一歩間違えれば、家族関係、人間関係を崩壊させ、事件にまで発展する危険性があります。家族が崩壊したのでは、教育力など論外です。 そこで、私は、それを防ぐ一助として、家族写真を撮ることを推奨します。家族のきずなが強いお隣、韓国では、必ずといっていいほど家族写真を引き伸ばし居間に飾ってあるようです。また、アメリカでも家族の写真を置いている家が多いようです。 神奈川県の相模原市では、親子のきずなの大切さを実感するために、本年度から「家庭の日」写真コンテストを実施しております。そこで、本県も県民の日などを使い、家族写真を活用したイベントを行い、家族のきずなを大切にする啓発事業を行ったらいかがでしょう。知事の御所見をお伺いいたします。 次に、高校の中途退学防止対策について伺います。 教育局は、新年度において体験プログラムなどによる対策の強化を図ると伺っています。確かに、目的意識の薄い生徒に対しては今回の取組は効果が期待でき、評価するものであります。しかし、これはあくまでも対症療法であって、根っこの部分、いわゆる基礎学力の習得や目的意識の醸成などには、長いスパンで取り組まなければならないと考えます。特に小学校では基礎学力の習得を、中学校では目的意識を身に付けさせることが重要です。 私は、平成八年から取り組んでいるLD児への支援の経験から、基礎学力の習得には、あらゆる児童にきめ細かな指導が必要と考えます。中学校での目的意識の醸成には、私が提案したふるさと講演会の拡充も有効でしょう。昨年、我が団で視察した岡山市には、中学校、小学校、幼稚園、保育園が常に連携をとり、情報交換をしている中学校区もありました。私は、中途退学者を根本的に減らすには、児童生徒の目線で高校と小中学校がしっかりと連携しながら、長いスパンで取り組むことがより重要と考えます。教育長の御見解をお伺いいたします。 次に、国際理解教育について伺います。 経済学者のガルブレイス博士は、アフリカの飢餓を、ボストンの街の中で人が飢えているのと同じ悲劇だと思えることの重要性を指摘しています。そのためには、世界市民という観点での国際理解教育が必要と考えます。 文部科学省によると、期間三か月以上で高校生の海外への留学派遣は、平成十年の四千百八十六名から平成十六年の四千四百四名へと、受入留学生も平成十年の一千三百五十名から平成十六年の一千五百十八名へと、共に毎年増えています。一方、本県の状況ですが、派遣留学生は平成十二年の五十一名から平成十六年の二十九名へ、受入留学生も平成十二年の二十二名から平成十六年の十八名へと、共に毎年減少しています。 先日、私は、財団法人エイ・エフ・エス日本協会のサポートでフランスから留学生を受け入れた県立大宮高校に行き、担任の先生にお話を伺いました。ちなみに、財団法人エイ・エフ・エス日本協会は、文部科学省の認可を受けて五十年以上の活動の歴史があります。 十か月という長期受入れだったこと、受入生が黒人のフランス人女子だったことなどから、文化や人種の違いなど、異文化を肌で感じる貴重な体験を生徒たちがすることができたと担任の先生はおっしゃっておりました。二月四日の朝、私も大宮駅まで帰国する彼女を見送りに行きました。そこには、早朝にもかかわらず大宮高校の生徒が四十人以上も来ておりました。私は、まずそのことに感動をいたしました。彼女に「日本でよかったことは」と聞くと、間髪入れずに「二年九組」と返ってきました。彼女が在籍したクラスです。生涯にわたる国際的な友情が築けたのだなと感動いたしました。 また、コスタリカへの留学から一月に帰ってきた女子高生は、「国民性の違いに触れて新しい考え方ができるようになった。日本が母国だということを実感した」と語ってくれました。海外に行けば、自分が日本そのものです。机上の愛国心教育よりも、何倍も日本人としてのアイデンティティーや祖国愛が高まります。本県では、インターリンクス事業を通して国際理解教育を推進していますが、予算の関係から一向に拡充されません。 そこで、財団法人エイ・エフ・エス日本協会などのボランティア団体との連携をとりながら、留学生の派遣や受入れを拡充し、国際理解教育を推進すべきと考えます。教育長の御所見をお伺いいたします。 次に、知事のお客様を県立高校に招へいをについて伺います。 残念ながら、現在ほどモラルハザードの時代はありません。私は、その原因に、人生の価値観の欠如があると考えます。豊かな人生とは何か。価値ある人生とは何か。我が母校創価大学に建つブロンズ像には、「労苦と使命の中にのみ人生の価値(たから)は生まれる」との創立者池田大作先生の言葉が記されております。 人生の価値を学ぶ上で、各界で活躍されている方との触れ合いは、大きな啓発となります。特に、世界的視野で活躍されている方との出会いは貴重な体験となります。私ごとで恐縮ですが、高校三年の秋、モスクワ大学のホフルス総長を創立者と一緒にお迎えする機会をいただきました。今でも胸に焼き付いております。私は、本県の高校生にも是非このような機会をつくってあげたいと思っております。 幸いに上田知事には、フランスのドゥ・モンフェラン駐日大使をはじめとして、数多くの要人が訪れます。その方々に是非時間をとっていただき、県立高校を訪問し、高校生との触れ合いの機会をつくっていただけないでしょうか。これこそ、知事の汗と知恵でできる予算ゼロベース事業ではないでしょうか。きっと未来に生きる高校生に、世界的視野と世界平和への芽がはぐくまれると確信いたします。知事の御所見をお伺いいたします。 我が県の偉人といえば、塙保己一、渋沢栄一、荻野吟子を誰でも挙げると思います。しかし、もう一人忘れてはいけない人がおります。本多静六博士です。一八六六年に菖蒲町に生まれ、日本初の林学博士となり、大宮公園や日比谷公園、明治神宮外苑などの公園の設計のほか、風雪から鉄道を守るための鉄道防雪林や水源かん養林の保護育成に尽力した方ですが、意外と知られておりません。 また、博士は幼いころ父親を亡くしたことから、大変な苦労をして大学へ進み、ドイツへ留学しました。その体験から、経済の自立なくして自己の確立はないという信念で、収入の四分の一を貯金に回す、四分の一天引き貯金を実践し、倹約と貯蓄、人の何倍もの努力で莫大な財産をなしました。 しかし、それ以上に博士の偉大さは、昭和二年の定年退職を機に、苦労してつくった財産のほとんどを社会に寄附したことにあります。本県にも、奨学金制度を創設することを条件に、奥秩父の中津川地区に所有していた二千六百ヘクタールの森林を昭和五年に寄附しました。本県はこれを県有林として管理運営し、木材の販売代金の一部を基金に積み立て、昭和二十九年度から本多静六博士奨学金の貸付けを始めました。日本一の教育立県を目指す本県にとって、忘れられない人物です。 そこで、私は、本多静六博士の偉業をたたえ、もっと宣揚すべきと考えます。併せて、博士の尽力により創設された奨学金制度を更に充実すべきと考えます。知事の御所見をお伺いいたします。 次に、農業政策について伺います。 知事は新年度、より一層埼玉県農産物のブランド化を推進するとおっしゃっております。私は、昨年十二月に小鹿野町のあんぽ柿の加工場、旧吉田町の干し芋処理加工施設を視察させていただきました。いずれも地元の農林振興のためにブランド化を目指し、並々ならぬ御努力をされ、今日の状況を確立されたようです。心から敬意を表します。 その上で、埼玉の農業と言えば、野菜、果実がその主力でもあります。そこで、野菜、果実の振興に的を絞って質問させていただきます。 現在、特に野菜、果実の市場では、かつてのように市場でせり落とすという流通の仕組みが少なくなってきております。むしろ市場は、大量消費者の窓口になる量販店への情報流通機能を強くしております。量販店は、自分たちのニーズに合った一定品質、安定ロットを供給できる産地を求めており、それにこたえられる産地だけが生き残れる仕組みになってきています。ですから、生産規模を縮小させた産地は、ニーズにこたえられる新しい産地に乗り換えられてしまいます。また、居酒屋のワタミグループなどは自分たちで野菜をつくり始めています。いわゆる買い手自身が農業経営に参入してきています。 このような時代背景の中、埼玉の野菜、果実が生き残るためには、一定品質、安定ロットのニーズにこたえられる産地を輩出しなければなりません。四千万という巨大な首都圏マーケットの真ん中に位置しているからといって、地産地消戦略だけでは勝てません。相手は市場です。市場を介して求められるニーズにこたえられなければ、四千万マーケットの口には届かないということを認識しなければなりません。 そのために重要なことは、作付面積の拡大と人の確保です。面積を拡大するためには、農林公社が農地を買上げ、もしくは借上げし、そこに企業も含め新規参入を呼び掛けたり、土地の流動化を促進することです。人の確保では、産地の後継者確保を最重要課題とし、今後増加する団塊の世代により光を当てるなど、あらゆる支援策に取り組むべきと考えます。知事の御所見をお伺いいたします。 次に、産地間競争に勝つために重要な要素である新品種の育成について伺います。 昨今、農林部では、新品種の試験研究に消極的だった平成十六年三月二十三日付け埼玉県農林技術推進調整会議申合せ事項を、部長を中心に総括し、試験研究の在り方を見直す動きが出てまいりました。これについては、一定の評価をいたします。 例えば、今、果実市場で人気があって光が当たっているのはイチゴです。そのためか九州では、あまおうという品種が育成され、東京中央卸売市場では、ロットのそろう年明け以降、栃木県産のとちおとめより、三百グラム当たり百円以上の高値取引が続いているそうです。また、近くは茨城県、千葉県、群馬県、遠くは宮城県や香川県などもイチゴの新品種が育成されております。本県も、昭和四十年代には作付面積が一千二百ヘクタールにも拡大し、品種ダナーで「イチゴは埼玉」との名を欲しいままにしていたようです。しかし、今はすっかり水をあけられてしまいました。やはりここは産地間競争に勝つためにも、水稲の彩のかがやきだけでなく、野菜や果実についても日本一の出荷を目指して、早急に戦略的に新品種の育成に取り組むべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、農産物の安全性について伺います。 現在、農産物の安全の確保のために農薬の使用量を従来の半分に減らす取組がされております。しかし、農薬に代わる病害虫駆除の技術をどこまでつくり上げているのでしょうか。私が調べた限りでは、現在技術として確立しているのは、露地ナス、キャベツ、ブロッコリー、ヤマトイモの害虫駆除に関してであり、その内容は、自然界の生態系の仕組みを生かした技術と聞いております。 高知県では、生産者から流通業者までISOの取得をするよう県がイニシアチブをとり、農薬低減技術として天敵の利用が進んでいます。また、さらに県職員を東京や本県にも派遣して営業をかけているそうで、その安全性への取組から、マルエツが高知県産のナスを発注したと聞いております。 ダイオキシン問題の際、本県の農家はどれほどいじめられたことでしょう。本県こそ、自然生態系を生かした農薬低減技術の確立に全力を挙げるべきと考えます。その取組内容は、食の安全にとどまらず、命の大切さを学ぶ食育につながるテーマでもあり、子供たちに対し自然の大切さを啓もうすることにもなるからです。知事の御所見をお伺いいたします。 次に、観光行政について伺います。 私は、昨年の十二月、中津川のニッチツ鉱山を視察いたしました。そこは平賀源内ゆかりの鉱山で、かつては糸金も採掘していました。昭和四十年代までは住民が三千人もおり、学校もありました。今でもその建物は残っております。私は、ニッチツ鉱山の所長の御配慮で、良質の石灰を採掘している現場までトロッコに乗り坑道を案内していただきました。新しい発見に大変感動いたしました。これは一例ですが、県内にはほかにも歴史に彩られた観光資源がたくさん眠っていると思います。 一方、新都心や埼玉スタジアム二〇〇二など新しい魅力を持った地域もあります。また、我が地元の盆栽村のように県と市が一体となって整備を進めるところもあります。私は、埼玉の魅力は、歴史あるものと新しいものとの融合にあると考えます。今後、埋もれた歴史と文化を再発見し、市町村との連携を図りながら観光振興に努めることがより重要だと考えます。その際、一層のPRのために、観光ポスターにはQRコードを掲載し活用することを提案いたします。 以上について、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、安心・安全のまちづくりについて伺います。 まず、大規模災害時の即応体制の整備について伺います。 我が団は、予算編成第五の視点として、防災対策の充実強化を挙げております。知事が全国で初めて危機管理防災部を設置したことや、新年度予算に特別機動援助隊(埼玉SMART)の創設などを計上していることに評価をいたします。 しかしながら、本県の消防は市町村を中心とした体制であり、有事の際の指揮系統等に若干の不安を感じるものであります。去る二月十六日の緊急消防援助隊埼玉県隊活動訓練にも三十六名の消防長が顔をそろえておりました。知事は、埼玉グランドデザインにおいて埼玉消防庁構想を示していますが、いわゆる一元的な体制の検討も含め、全県的な防災体制をどう強固にしていくのか、御所見をお伺いいたします。 次に、大規模災害時の対応で重要になるのは、緊急物資の輸送路の確保であります。そのために本県は、震災発生時に一般車両を通行禁止又は制限する緊急輸送道路として百三十七路線、百五十七区間を指定しております。ですから、その路線を日ごろから県民等利用者に告知しておくことが大事になります。東京都や神奈川県では、道路案内板の裏面にナマズの絵を使って告知しております。現在、東京都では十六年度末で七十基、神奈川県では三十四基となっております。私は、既に四年前の二月定例会で提案いたしましたが、残念ながら反対車線では見にくい等の理由でいまだ実現しておりません。 そこで、私は過日、青梅街道の現場を確かめてまいりました。対向車線にあることは全く気になりませんでした。しかも、夕方の六時でしたが、十分見やすい状態でした。東京都が考案したナマズの絵が嫌なら、コバトンに防災ずきんをかぶせてもいいでしょう。防災対策は、広域として対応することが大事です。本県も速やかに対応する必要があると考えます。東京都、神奈川県、共に知事部局と警察が一体で取り組んでいますので、知事並びに警察本部長に御所見をお伺いいたします。 次に、AED(自動体外式除細動器)に関して伺います。 新年度予算には、AEDを全県立高校百五十一校を含め二百十七基を設置する予算が計上されております。我が党は、AEDの普及を強く主張してきましたので、この点については高く評価をいたします。 御存じのとおり、AEDは突然の心肺停止状態から蘇生させるのに極めて有効な器具であります。操作も、音声に従って行えるようになっております。しかし、簡単そうに見える消火器も、日ごろ訓練していませんと、いざというとき使えません。果たして、目の前で人が倒れたときに初めての人が使えるでしょうか。大変難しいと思われます。 そこで、私は、いざというとき有効に使われるためにも、配置される県立高校の全生徒を対象に訓練することを提案いたします。また、他の県立学校並びに県有施設についても、職員が有効に操作できるよう訓練すべきと考えます。その際、人工呼吸と心臓マッサージの救急救命訓練も併せて実施すべきです。アメリカのシアトル市は、心肺停止者の救命率が四〇パーセントを超していますが、それは心臓発作を起こすならシアトルでと言われるほど、七〇パーセントもの市民がAEDを扱えるようになっているためのようです。知事に、本県の今後の取組について伺います。 知事は、官から民へという取組の一つとして、埼玉高速鉄道の社長に、しなの鉄道の改革で実績を上げた杉野社長をスカウトし、積極的な経営改善を図られました。社長の若さあふれる率先垂範の取組は、一定の成果を上げております。 しかし、この改革の中で東京メトロからの転籍社員の処遇適正化を急いだため、早期退職者が多く出ているとの話を聞きました。申し上げるまでもなく、鉄道事業は安全運行が最優先課題であり、一度でも事故が起これば社会的信用を失うことになります。ベテランの社員の退職が続くと、安全性は万全なのか心配されます。 残念ながら、昨年は大きな鉄道事故が二件起きております。犠牲になられた方々に、心より哀悼の意を表します。私は、安全には万全を期すべきと考えます。そこで、安全確保のための社員の確保は十分行われているのか、東京メトロからの協力体制は十分なのか、同社の会長でもある知事にお伺いいたします。 最後に、日本を守るバックアップオフィスを埼玉にと主張されている知事に、「さいたまタワー」について伺います。 一昨年の夏、私も知事と一緒にトロント・CNタワーに上りました。三百四十六メーターのグラスフロアから真下を見たときのおしりがくすぐったくなる感覚は、今でも忘れられません。中でも、展望レストランから見た夕日は絶景でした。何としてもタワーの建設をと知事と語り合ったのが昨日のようです。 しかし、一向に結論が出ないことに、私もさいたまタワー誘致議員懇話会の一員として心に痛みを感じております。防災の観点から見ると、タワーを建てるべきところは、さいたま新都心しかありません。改めて知事のさいたまタワー誘致に向けての取組と御決意をお伺いいたします。五年後には、三丁目の夕日ならぬ新都心の夕日が見られることを期待し、私の公明党議員団を代表しての質問を終わります。 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手起こる) ○蓮見昭一議長 五十九番 畠山清彦議員の質問に対する答弁を求めます。     〔上田清司知事登壇〕 ◎上田清司知事 畠山清彦議員の公明党議員団を代表されましての質問に、順次お答えをいたします。 まず、御質問の平成十八年度予算編成及び知事の県政運営についてのお尋ねのうち、セーフティーネットの構築についてでございます。 我が国がバブル経済崩壊後の経済を立て直し、少子高齢化の中で新しい躍動の時代を迎えるために、経済の生産性を高め、所得拡大の好循環をつくり出すことが必要であります。その過程において、雇用の調整や給与体系の見直しなど格差の拡大につながる事態が生じることは、ある意味では、つらいことですが、やむを得ない部分もあるのかなというふうに思います。 問題なのは、現在の格差拡大が、このような跳躍前の屈伸、跳び上がるためにかがんでいる、そういう一時的な現象なのか、それとも経済が回復した後もこの格差が続くのか、そういうことの視点が、実は一番大事なことじゃないかなというふうに思っております。そういう意味で、格差が将来更に大きくなるような事態が生まれると、国民の間に不平等感が広がって、社会の不安を起こすことになりかねないと思います。 アメリカの経営学者でありますドラッカーが、経営者に対し「企業内の所得格差を二十倍以上にするな。これを超えると、憤りとしらけがまん延する。余りの不平等が絶望を招き、社会全体が崩壊する」と言ったそうであります。所得の不平等性を示す指標の上昇や、生活保護世帯が十年前に比べて六割以上も増えていることなど、少なくとも統計上は格差の拡大を示しているものと私は考えます。今後、注意深くこの動向を見守っていかなければならないというふうに考えております。 また、セーフティーネットの構築についてでございますが、私は、自らの責任でないところでハンディキャップを負った人々を社会全体でカバーするのは、政治や行政の基本的な務めだというふうに考えているところであります。努力はしたけれども、結果として敗者になった人たちに対するセーフティーネットの構築というのは、極めて大事なことではないかと思っております。 実は、敗者を生み出さない予防的なセーフティーネットも必要じゃないか、こういう考え方もまたあるのではないかというふうに私は思います。敗者が再挑戦するだけじゃなくて、敗者にならなくても済むような仕組みというのも多少は考えてもいいんじゃないか。県では、例えば今年度の予算の中では、ニートに対する就業支援の拠点となる若者自立支援センター、これは仮称でありますがこの設置、また、民間教育訓練機関を活用した母子家庭の母などに対する職業訓練なども、正にこうした趣旨で運用されれば意味があるのではないか、このように考えたりしております。どちらにしても私は、誰もが明るい未来に向かって前向きに何度でも挑戦できる社会、そして努力が報われる社会が好きであります。その社会をつくるために全力を尽くしていきたいと思っております。 次に、行政改革と予算編成についてであります。 平成十七年度の事務事業の見直しに当たりましては、平成十六年度に実施しました二千三の事業の総点検結果を踏まえまして、六月から見直しを行っておりました。具体的には人件費、県立施設、補助金などの共通課題を十三項目設定いたしました。このほか、電子県庁の運用コストの低減、公園整備の見直し、警察業務の民間委託の推進など、事務事業の総点検では、未解決なものなどを中心に百六十六の個別検討課題を設定いたしました。その結果を平成十八年度の予算編成に反映させたところでございます。 主な見直しの成果としましては、共通課題として設定した人件費につきましては、知事部局で百二十人の定数削減を行っております。 県立施設のうち社会福祉施設については、白鳥荘を廃止するほか、彩光苑は民間社会福祉法人へ、皆光園、そうか光生園は社会福祉事業団へそれぞれ移管しております。また、県営神川温泉保養センターにつきましては民間移管を進めることといたしました。 補助金では、公立社会福祉施設の産休代替職員設置補助の負担区分の見直しを行い、市町村からの負担を求めることといたしました。 このほか、指定管理者の導入などによる県の外郭団体の支出の削減や各種団体に対する運営費補助の削減を行ったところであります。また、既存の庁内情報システムの維持管理費についても削減目標を設定し、引き続き経費の削減を行っております。 県の事業や組織についての見直しは、一回限りで終わりません。この事業は本当に必要なのか、他の手法でできないのか、税金を無駄にしてはいけないなど、不断の見直しをする必要があると考えます。そのため、今後も事業の効果や効率性をゼロベースから検証し、毎年事務事業の見直しを進めてまいります。 次に、「仕事編成」についてでございます。 平成十八年度につきましては、これまでの予算編成から一歩進んで、仕事を編成するという考え方を徹底しております。従来は予算ありきというところからスタートする、そういう発想があったように思いますが、まずは仕事ありきで考えたい、このように申し上げました。予算のほかにも、職員の知識、経験や信用力、情報など、県は様々な無形の手段を持っておりますので、それらを活用して、予算編成というよりは、仕事編成という考え方でもっと仕事ができるんじゃないかということを提案をいたしました。 御承知のとおり、私も就任以来、仕事をやっていますという話は聞きますが、やった結果どうなったかということについての評価が薄いのではないかという考え方を持っておりましたので、具体的な数字で成果を示す成果主義や、県職員がつなぎ役を務めることによって様々な成果を生み出す、そういう重要性を訴えてまいりました。そこで、明確な数値目標の下に、職員が汗を流し知恵を出す仕事編成の考え方を、更にそのことで徹底させようとしたものでございます。今後も、あらゆる政策課題について具体的な成果目標は何かをまず定める。そのための知恵の出し方、汗の出し方は何かをしっかりと書く仕事編成の考え方をより徹底したいというふうに思っております。予算は、その次についてくるものだというふうに思います。 また、今回の仕事編成の中では、選択と集中の観点から、地域における防犯の推進と圏央道開通を生かした産業集積の推進、そしてさらに青少年の体験活動の徹底という三つの緊急取組課題を設定しました。その結果、部局を越えて全庁的な体制で問題解決に向かって一丸となって取り組むという流れが生まれております。来年度以降も、引き続き部局を越えた政策レベルの選択と集中により具体的な成果を上げていきたい、このように思います。 次に、知事の人事評価についてのお問い掛けでございます。 職員の実績評価を人事配置や給与に反映していくために、職員の実績や日ごろの努力を適正に評価しなければなりません。職員の実績評価に当たっては、評価の客観性とか公平性を確保することが必要であります。そのため、目標やその達成水準について、できるだけ工夫して具体的に数値化すべきであると考えております。 しかしながら、御指摘のように、県の仕事の中には成果が数値として表われにくいものがあります。私も、数字がすべてだとは思っておりません。しかし、数字はうそをつかない。そういう意味で、参考にすべきだというふうに考えております。お話しの、数字に表われないが汗をかいた分については、しっかり評価していく必要があると考えます。 現在実施しています評価制度においては、職務達成過程評価という評価項目を設け、職務達成に向けた職員の日ごろの取組や努力を評価する、こういう仕組みもございます。こうした制度的な取組と併せて、私自身も一昨年に続きまして昨年七月から本年の一月にかけて百九十人の、今度は地域機関の長ともまた面談をさせていただきました。いろいろな意見交換を通じながら、それぞれの部門的な責任者が持つ意識や、あるいはまた意欲とか、あるいは成果とかというものをできるだけ把握する努力をしたつもりでございます。今後とも職員の取組については、各部局長をはじめ課所長の部下に対する評価をよく聞いて、成果とともに、数字に表われない職員の取組や努力を的確に把握し、評価してまいります。時々、私の評価と部長の評価とまるっきり違うこともあります。 次に、女性職員の積極的な幹部登用でございます。 県における女性職員の割合が三割を超えました。さらに、組織力を高め、県民サービスを向上するためには、女性職員の能力を積極的に活用する、重要なことであります。このため、これまでも意欲と能力のある女性職員を積極的に登用してまいりました。この結果、女性の役付職員は毎年増加し、十七年四月一日現在で十年前に比べますと一・六倍の六百七十九人となっております。 なお、課所長以上の管理職に限りますと二十一人と極めて少ない。女性の幹部職員は、現在数が少ないところでありますが、四十代、三十代には大変多くの人材がおりますので、今後は間違いなく増えていくものと考えております。 女性管理職を養成していくためには、計画的な人事配置や能力開発が必要であります。最終的に一番大事なことは、登用する職を男性向きとか女性向きとか固定的に考えてはいけないと。ともすれば、そういうふうな考え方がなきにしもあらずだったんですが、私は、正に男性向きとか女性向きとか、そういう固定的な考え方に立たずに、意欲と能力がある女性職員については、幅広くチャレンジしていただく機会を設けるべきだというふうに考えております。この四月の定期人事異動においても、女性職員の積極的な登用を予定しております。 御質問第二の産業政策についてのお尋ねでありますが、産学連携の推進でございます。 産学連携については、中小零細企業が自ら必要な情報を探し出し、大学や研究機関などのパートナーを見つけることは、極めて困難な状況ではないかと思います。したがいまして、県は、企業や大学、研究機関を訪問して現場のニーズを掘り起こし、その連携に取り組んできたところでございます。さらに、私は、県がその信用力と情報収集力を大いに活用して、産学連携のつなぎ役としての役割をもっと果たすべきだと考えております。 そこで、平成十八年度予算案では新たに、仮称でありますが、産学連携支援センターを開設するために必要な予算をお願いしているところでございます。技術的な壁にぶつかり悩んでいる中小零細企業の方に、適切な専門家を御紹介する駆け込み寺的な相談窓口を設置し、とことん対応したいと思います。このセンターを中心に、中小零細企業の目線に立って産学連携をより一層促進し、産学連携なら埼玉と言われるようにしたいと思います。 次に、インドとの経済交流についてでございます。 インドにつきましては、一九九一年の経済自由化以後、海外からの投資やIT産業が国内経済を牽引し、めざましい経済成長を遂げております。現在、GDPが約六千九百十九億ドルで世界第十位、アジアでは中国に次ぐ第三位と、大変注目される国の一つとなっております。このため、日本とインド間の経済交流も活発化しつつある現状でございますが、現在のところでは大企業中心で終わっております。実際、県内に本社を置く企業でインドへ進出している企業は四社で、このうち三社が上場企業でございます。中小企業が九九パーセントを占める本県におきまして、インドとの本格的な経済交流はこれからかなというところが正直な感想です。 しかしながら、御提案のように一層の経済成長が期待されるインドとの経済交流は、今後の本県経済を支える観点から、必要な取組の一つにしなければならないものと考えます。県といたしましては、これまでも情報収集のために、既に日本に進出しているインド企業への訪問も行っております。さらに、県内の経済団体がインド視察団を派遣するなど、民間レベルでの情報収集を行う動きも見られます。また、インド企業が来県された際には、インド企業を対象としたセミナーを開催し、本県の優位性を積極的にPRさせていただいております。今後もこうした取組とともに、新たに県内企業を対象としたインド経済についてのセミナーを開催するなど、経済交流に向けた環境づくりを進めていきたいと考えます。 チャイルドファースト社会の創出をというお尋ねのうち、まず、少子化対策についてでございます。 議員のお話にありましたように、少子化対策は、福祉のみならず教育、労働、住宅など、部局の垣根を越えて全庁的、横断的に取り組む喫緊の課題であると認識しております。 本県では、平成十七年二月に埼玉県子育て応援行動計画を策定、公表したところでございます。この推進に当たりましては、副知事を議長として、庁内四十九課室から成る子育て応援行動計画推進庁内会議を設置し、各部局の持つ専門性を生かしながら取り組んでいるところでございます。この中から、福祉部、産業労働部の連携によるワークライフバランス推進事業等を立ち上げ、早速実施しております。また、NPO、経営団体などの代表者や学識経験者から成る埼玉県子育て応援行動計画推進協議会を設置し、県民総ぐるみで少子化対策に取り組んでいます。平成十七年度は、この計画で定めた四十三の数値目標と百八十八の施策についての進ちょく状況などの検証を行い、庁内組織総力を挙げて計画の推進に努めているところでございます。 御提言の少子化対策局については、これからの少子化対策を展望したとき、極めて意義のある提案かと思います。先日、参加出席いたしました少子化担当大臣と地方自治体のトップの北関東ブロック会合の際にも、猪口大臣の方から、知事直轄の少子化対策の部門をつくったらどうだという御提案をいただいたところでもございます。早速、重なった御提案でございますので、今後何らかの形でこの御提案を生かさせていただきたいと思っております。 次に、青少年健全育成のために勇気ある規制をというお問い掛けでございます。 御質問にありましたように、平日の午前中から営業しているゲームセンター、二十四時間のカラオケボックスやコンビニエンスストアなど、子供たちの環境にとっていいのか悪いのかという議論をすれば、決していいとは思えないと思います。 一方、法律や条例により店舗の営業時間を規制することはなかなか難しい。これも現実でございます。さりとて、いかがなものかということで、県としましてもこの現状に対して、昨年二月に青少年健全育成条例を改正し、深夜営業者に対し、青少年の深夜時間における帰宅を促す努力義務を課したところでございます。その後、何回か立入調査をやりましたところ、店内の掲示や店内放送、声掛けなどにより、各店舗の取組は進んでおります。 なお、コンビニエンスストア各社は県と災害時における帰宅困難者支援に関する協定を締結し、防災活動に御協力もいただいております。また、防犯や青少年の健全育成を目的としたセーフティーステーション活動にも自主的に取り組んでいただいたりもしております。さらに、コンビニエンスストアやカラオケボックスなどの業界団体とは、青少年の健全育成に係る様々な問題について、個別の話し合いの機会も設けさせていただいております。 このような状態を踏まえて、当面は条例改正の趣旨が地域において徹底されるよう、ゲームセンターやコンビニエンスストアなどの事業者団体との検討の場をつくって、青少年に有害な環境の排除に努力をしていきたい。ただ、独立系のところなどが、これから更に問題になるのかというふうな認識を持っておりますので、そうした点も検討を加えてみたいと思います。 次に、「教育立県・埼玉」を目指してのお尋ねのうち、家庭の教育力についての家族写真による啓発事業についてであります。 家庭は、青少年の健全な成長において最も重要な基盤であり、家族の心のよりどころでございます。そこで、県では家族の触れ合いを深めてもらうため、毎月第三日曜日を家庭の日、八月を家族ふれあい月間として定め、ポスターコンクールなどの各種施策を進めているところでございます。 県庁においても、ワークライフバランスの観点から、毎週水曜日にノー残業デーを実施しております。時々見てください、ちゃんとやっているかどうか。また、福祉部では、「週に一回は家族全員で夕食を」を合い言葉に、毎週金曜日についても家庭や地域に帰る試みを先導的にやっております。良い結果を得れば、さらに全庁的に取り組んでいきたいというふうに考えております。 議員御質問の家族写真による啓発事業でございますが、家族がそろった写真は家族の歴史の記録にもなり、また、家族全員の一体的な気持ちをいつまでも共有させてくれるものと、有意義な御提案と思います。戦国時代の中国地方の覇者であります毛利元就は、御自身の奥様が早く亡くなったために、子供たちのために絵師を呼んで肖像画をかかせて、子供たち三人に毎日お守りをさせていたと、それで親子のきずなや兄弟のきずなをつくっていたと。やはり知恵のある人はそういうことをやっていたということですので、私もまねをしなければというふうに思います。 いずれにしても、こうした家族のきずなを深めるような写真が県内に広く普及されることは大変いいことだというふうに思いますので、県民の日のイベントでそのことを紹介したり、家族ふれあい月間でそうしたPRもさせていただきたいなというふうに考えます。 次に、知事のお客様を県立高校へ招へいをとのお尋ねでございます。 とてもすばらしいアイデアをいただきました。確かにこれまでにも、オーストラリア・クイーンズランド州のピーター・ビーティー首相をはじめ、既に二十組を超える海外からの使節団や要人の方々が本県を、少なくとも私が知事になってからございました。こうしたアイデアをもっと生かすべきだなというふうに思います。 確かに、先日もオハイオ州知事が日米経済協議会のために訪日されて、そのとき奥様が、生徒がオハイオ州に語学研修に参加した縁があって、県立伊奈総合学園の方に訪問されたときに、大変子供たちが感動したという報告も聞いております。また、奥様を歓迎するために吹奏楽部がアメリカ合衆国の国歌を吹奏したところ、御婦人は涙を流して喜んだというふうな話も聞いております。そうしたことがまた、子供の心に大変感動的だったという、そういうお話も聞いておりますので、世界的な視野で活躍される方々を、じかに高校生などに触れていただく、交流していただくということは、正にお金のかからない、予算の要らない、なおかつ成果のある仕事ではないかというふうに思っております。今後はそうしたことを意識付けて、極めて厳しい日程ではあると思いますが、そうした企画を提案していきたいというふうに考えます。 次に、本多静六博士の宣揚と奨学金の充実についてでございます。 まず、本多静六博士の偉業をたたえて、もっと宣揚すべきとのお尋ねであります。お話にございましたように、本多静六博士は造林学や林政学をはじめ、数多くの林学分野の専門書を著し、近代日本の林学の父と言っても過言でない方であります。また、御指摘がありました日比谷公園、神宮外苑以外にも、北海道の大沼公園、福岡の大濠公園、また秩父市の羊山公園など、国立公園あるいは様々な日本を代表する公園の設計者でもあったという大変偉大な足跡を残された方であります。正に、四天王と言っても過言でない方なのだと思います。小学校の副読本であります「埼玉県の偉人たち」の中でも大きく取り上げられております。また、秩父市中津川にあります埼玉県森林科学館においても、本多静六博士コーナーを設置するなどの取組も行っております。 今後、議員の提案を生かす形で、森づくりに貢献した方々を表彰する本多静六博士賞などを創設することも、あるいは意味があることじゃないかというふうに、様々な角度から検討した上でそうした顕彰制度をつくってみたい、このように思います。 次に、本多静六博士奨学金制度を充実すべきとのお尋ねでございます。 既に御紹介がありましたように、博士から寄附された二千六百ヘクタールの山林から上がる収益を奨学基金に積み立てて、その果実を原資に、大学生等に対して月額二万円の貸付けが行われているところです。近年では、毎年百二十人余りを対象として約三千万の貸付けが行われております。その結果、昭和二十九年度から今日に至るまで、一千四百名余りの優秀な人材を社会に送り出しております。奨学基金の総額が現在二億八千万に達しております。森づくりを人づくりに生かした全国に例のない奨学金制度として、高く評価されるものだというふうに思います。 一方、近年では学生や保護者の方から、入学準備貸付金の新設や大学院生への対象拡大などの要望も出てきております。こうした要望を踏まえて、本制度の積極的な活用を図るためにしっかりと検討したいと思います。 次に、農業政策についてのお尋ねのうち、産地間競争に勝つ施策の展開をでございます。 本県の野菜、果実が生き残るには、一定の品質、安定ロットのニーズにこたえられる産地づくりが必要であると、そのためには作付面積の拡大と人の確保が重要ではないかという御指摘でございますが、そのとおりだと思います。県としてもこれまで、農業生産の拡大及び新規就農者の育成を重点課題に位置付けて、その推進に取り組んできたところであります。 農業生産の拡大については、遊休農地等を活用して小松菜、伝統野菜であるのらぼう菜、ブルーベリーなどの新規作付に取り組んでおります。その結果、野菜、果実につきましては、十六年度において二十九ヘクタールであったものが、十七年度の生産拡大目標において七十一ヘクタールとしたところ、本年度は現時点において九十ヘクタールの生産拡大が図られているところでございます。 また、新規就農者の育成については、就農相談や農業大学校での研修などを実施しているところでございます。その結果、今まで百八十人程度で推移しておりました新規就農者が、本年度は二百二十人育成されているところでございます。 また、強い産地づくりを行うために、農林公社等における農地の流動化や漬物業界への白菜の供給など、食品関連産業と連携した産地の育成も図ってまいります。併せて、一年中栽培が可能となる施設の導入等を促進してまいります。これにより、例えばミズナの場合、露地栽培では年四回の収穫を八回に増やすことが可能になります。 さらに、団塊世代のリタイアが見込まれる中で、農業大学校や農林公社等において、団塊世代を含めた就農希望者を対象にした研修を実施し、本県農業の担い手をより確保していきたいと考えます。今後とも作付面積の拡大と人の確保に努め、野菜、果実について一定品質、安定ロットのニーズにこたえられる産地づくりに取り組んでまいります。 新品種の育成についてでございます。 品種の育成には多くの時間と地道な研究が必要であることから、将来の需要を慎重に分析し、計画的に進めることが重要でございます。このため県では、おいしさや病害虫への抵抗性、収穫時期など、対象品目ごとに育種目標を定めて品種育成に取り組んでいるところでございます。その結果、現在の彩のかがやきやナシの彩玉をはじめ、茶、花、キノコなど多くの品種が種苗法に基づいて登録されております。また、芳香シクラメンの麗しの香りや酒米のさけ武蔵など六品種についても、新たに登録出願しているところでございます。特に、果実の彩玉については大きくて甘いという特性で、幸水の二倍以上の価格で取引をされております。イチゴについては、これまでベリースターと彩のかおりの二品種を育成しました。これらは果肉がやわらかく、長い輸送に向かないことから広く普及するに至りませんでしたが、おいしい特徴を生かして直売用として活用されているところでございます。 農林水産物の新品種は、新たなブランドを創出するとともに、産地間競争に打ち勝つ上で極めて重要な要素でございます。今後ともイチゴをはじめ、民間企業と競合しない野菜や果実について、戦略的に品種育成に努めてまいります。 次に、農産物の安全性についてでございます。 私は、あらゆる行政分野に安心・安全の思想を貫くと、このことを県政運営の哲学にしております。正に、近年、食の安全・安心を県民が大きく重視する時代になりました。そういう意味で、海外産ではない、県内産に対しても評価が高まっているところでございます。このため県では、農薬や化学肥料の使用量を平成二十二年度までに半減する彩の国有機一〇〇倍運動に取り組んでおります。 こうした中、生態系を生かした農薬の低減技術を確立し活用することは、お話しのように大変有効であります。県ではこれまで、天敵などの自然の仕組みと農薬を組み合わせた効果的な防除技術を開発し、普及を図ってまいりました。特に、害虫の雄を誘引する性質を利用したフェロモン剤の活用や、露地ナスの栽培において害虫を捕食する天然のカメムシの活用、ブロッコリーの栽培におけるクモ類の活用など全国に先駆けて取り組み、農薬の削減に努めてまいりました。 しかし、残念ながら生態系を生かした農薬の低減技術の浸透度はまだ十分ではありません。今後、試験研究の成果のPRや現地での実証活動を強化して、更に普及拡大に取り組みたい、このように考えます。天敵など自然生態系を生かした農薬低減技術の活用については、食の安全、食育の観点からも重要な課題であります。積極的に活用を図りたいと考えます。 観光行政についてのお尋ねでございます。 埼玉の魅力は、歴史あるものと新しいものとの融合にあるとの議員のお話でございますが、全く同感でございます。川越はじめ、歴史的な町並みや武蔵野の緑の豊かな景観がある一方では、さいたま新都心などの近代的な都市の景観を併せて持っているのが埼玉県の特色かなと考えます。 ただ、県内各地でそれぞれの市町村が観光開発に取り組んでおられますが、私たち自身がその観光資源を十分認識していない、こんなところがあるのではないかというふうに思っております。したがいまして、こうした観光資源を掘り起こすために、平成十七年度から「花」をキーワードにした埼玉県の観光イメージアップ作戦を展開しているところは御承知のとおりでございます。最近では、首都圏において埼玉の花や花を通した観光地の認知度が上がってきております。 また、私は、観光の持つ魅力は、心身をリフレッシュさせるいやしの機能と、そして日常とは異なる環境を体験するという二つの側面から、極めて意義のあることではないかというふうに思います。例えば、秩父の芝桜を見て心をいやす。そしてその後、ちちぶ銘仙館で染めや織りの体験をすると。こういうコースを幾つもつくっていけば、私は幾つもの場所が、埼玉は観光の名所になる可能性を幾つも持っている、こんなふうに考えておりますので、こうした本来持つ資源を、各市町村の皆さん、関係の皆さんとともに積極的にPRしたい。 そして、議員御提案のQRコードは、携帯電話からインターネットのホームページへの接続を容易にすることができると。観光ポスターに掲載されたQRコードは、より多くの観光情報を提供するための有効な手段になる大変意義のある御提案でありますので、観光ポスターについては、市町村や関係団体とも連携を図りながら、QRコードの掲載を進めてまいります。 安心・安全のまちづくりについてのお尋ねのうち、大規模災害時の即応体制の整備についてのお尋ねでございます。 大規模災害時に真っ先に求められるのは、正確な状況把握と迅速、的確な指揮命令に基づく行動でございます。私が災害対策本部長となるような大災害では、消防組織法の規定により、市町村長と消防長に対して必要な指示ができます。また、自衛隊に対して派遣要請もすることができます。 なお、消防は、代表消防機関であるさいたま市消防局が被災地における救助活動の統括指揮をすることになっておりますので、指揮命令系統は整っていると考えております。現在、本県に三十六の消防本部があることから、本県は国に先んじて広域化の必要性を訴え、その進めをやっているところでございます。消防庁もやっと重い腰を上げまして、消防広域化の推進に向けて消防組織法の改正に着手してきました。私も、お話にありました埼玉消防庁の実現を目指して、引き続き積極的に広域化を進めてまいりたいと考えております。 県全体の防災体制の強化のためには、県、市町村、防災関係機関、企業、県民が日ごろから連携して行動することが大事であります。そこで、県、消防、警察、自衛隊で構成する危機管理連絡調整会議を設けて、災害時における連携強化に努めております。さらに、地域に根差した消防団の充実強化、自主防災組織や地域防災協力企業の育成に努めております。今後とも七百万県民の生命と財産を守るため、大規模災害時の即応体制の整備に向けて万全を期して取り組んでまいります。 緊急輸送道路への案内板の設置についてでございます。 緊急輸送道路は、災害時の救急救援活動に極めて重要な役割を果たすものでございます。議員指摘の案内板につきましては、災害発生時に通行を禁止する旨の看板を、警察において県内の主要幹線道路に設置しております。また、この道路の重要性を広く県民の方々に知っていただくため、平成十四年五月から県のホームページに緊急輸送道路網図を掲載し、アピールに努めているところでございます。 私は就任以来、ハード、ソフトの両面から防災対策に力を入れているところでございます。その一つとして、緊急輸送道路における重要な橋りょうについて耐震性を高める事業を前倒しをして、災害に強い県土づくりを推進してまいりました。また、昨年十月には、災害時の通行に支障のないよう、職員自ら緊急輸送道路沿道のブロック塀や看板の点検を実施し、安全対策について県民への啓発を図っているところでもございます。 議員御提案のイラスト入りの案内板設置については、県民の皆様への周知を図る方法として有効だと考えます。県警本部と連携を図りながら、横断歩道橋などを活用し案内板を設置したい、このように考えます。 次に、AEDに関する訓練をについてでございますが、県民の安全と安心を確保するため、今議会にAEDの設置や設置場所の案内表示、普及啓発など、AED関連予算を御提案させていただいております。議員御指摘のように、緊急時にはいつでもどこでも、居合わせた人がちゅうちょせずAEDを使用できることが大変重要であります。そのためには、一般の県民の方々やAEDを設置する施設の職員などを対象にした講習の実施は不可欠でございます。現在、県立高校では、人工呼吸や心臓マッサージなどの応急手当について、すべての生徒が授業で学習していると聞いております。今後、AEDの設置を契機に、その仕組みや取扱い方について学んでいくことも重要ではないかと私も考えておりますので、教育現場での真剣な取組に期待をいたします。 また、AEDを設置する県有施設の職員に対しては、機器の設置時に操作訓練を行うことにしております。人工呼吸や心臓マッサージにAEDの取扱いを含めた救命講習については、市町村消防本部や日本赤十字社の協力の下、一般県民を対象に実施しております。平成十八年度は五万人の方を対象に講習会の開催を計画しております。今後、市町村や民間団体の協力の下、埼玉県AED普及推進協議会を設置し、県内の随所にAEDの整備を進めながら、多くの県民がAEDを適切に取り扱えるように取り組んでまいります。 埼玉高速鉄道の安全性確保についてでございます。 昨年のJR福知山線の事故が大変記憶に新しいところでございます。そうしたことから、埼玉高速鉄道においても安心・安全がすべての基本であるということは、私自身も強く感じているところでございます。 開業以来五年間、ベテラン社員の力に支えられ、埼玉高速鉄道は無事故でここまで至っております。しかし、月日の経過とともにベテラン社員の退職は避けられないことから、会社では、平成十七年度から始まった経営改善のための新中期三か年計画の中でも、後継者の育成を掲げております。現在、経験を持った熟練社員の指導の下、実際に監督者の仕事を経験させるなど、若手社員の積極的な育成を図っていると聞いております。 また、若手社員を養成し自立するまでの間、東京メトロには引き続き出向社員を埼玉高速鉄道に送るなどの支援体制を組んでいただいております。東京メトロからは、こうした人的支援にとどまらず、会社の設立から様々な支援、協力をいただいております。私としても今後、東京メトロに今までに増して全面的な御協力をいただき、埼玉高速鉄道の安全輸送の確保に努めていきたいと考えております。 次に、「さいたまタワー」についてでございます。 畠山議員のお話にもございましたように、さいたま新都心の防災面での優位性は折り紙付きでございます。去る一月二十三日に、中央防災会議の首都直下地震対策専門調査会で座長をされておられます伊藤滋教授と懇談をさせていただく機会がございました。伊藤教授からは、「大地震を考えると、墨田・台東エリアは基礎が不安定な場所であり心配である。首都圏直下型地震では墨田区付近では震度六強と想定されている。仮にタワーは残っても、周辺の液状化でタワー機能の担保は図れないだろう」というようなお話をされました。 現在、放送事業者は墨田区、東武鉄道との協議を行っております。協議期限は、当初は昨年の秋ごろと言われておりましたが、十二月に延びました。さらに、この三月末まで延長になりました。これは、正に協議が難航しているのかなというふうに判断せざるを得ません。他人の不幸を喜ぶのは私の好みとするところではありませんが。ありませんが、しかしこの墨田・台東エリアについては、正直言って協議が不調に終わるのを待っております。第二候補という立場でありますので、表立った動きをすることはできませんが、水面下では、防災面の優位性などをしっかりアピールしたりしておるところでございます。決してあきらめる必要はないというふうに思っております。 大変力強い御声援をいただきましたが、皆様方の御支援を一層いただきながら、粘り強く実現に向かって頑張りたい、このように思います。 以上でございます。     〔稲葉喜徳教育長登壇〕 ◎稲葉喜徳教育長 御質問四、「教育立県・埼玉」を目指してについてお答えを申し上げます。 まず、(一)教師の資質向上についてのア、教育局主催の(仮称)「教師塾」の開設をでございますが、東京都が平成十八年度から実施いたします東京教師道場につきましては、教員の資質向上を目的として、特に授業力の向上を目指した研修であると聞いております。 本県においても、東京都と同様に教員研修の場としての(仮称)教師塾を開設してはどうかとのお尋ねでございますが、本県での教員の資質向上については、法定研修である初任者研修、十年経験者研修に加え、県独自の研修として、教職経験五年目のすべての教員を対象に、経験豊富な教員を指導者とした五年次教員研修を実施しているところでございます。さらに、来年度からは県独自の悉皆研修として、学習指導や学校経営における校内リーダーの育成を目指した二十年経験者研修の実施を予定しております。これらの系統的な研修を実施する中で、教員間の相互研さんなどができるより良い研修方法について工夫し、教員の一層の資質向上を図ってまいります。 次に、イ、全県立高校での「生徒による授業評価」の実施をでございますが、県では、平成十八年度から新たな人事評価制度を教職員全員を対象に実施することとしております。この人事評価制度の目的は、教員の資質、能力の向上を図り、教育力を高めることにありまして、評価に当たっては、教員の教科指導や生徒指導などで発揮された能力や実績を客観的に評価することとしております。 お話しの生徒による授業評価につきましては、現在、県立高校六十五校で授業アンケートなど様々な取組が行われ、生徒の声を授業に反映するよう努めております。この取組は、授業の指導方法の工夫改善に効果がありますので、他の県立高校でも実施できるよう推進してまいります。こうした生徒による授業評価を人事評価にも反映させることにつきましては、評価の客観性や評価方法など解決すべき課題もございますので、今後新たな人事評価制度の定着を図る中で検討させていただきたいと存じます。 次に、ウ、全県家庭訪問運動の実施をでございますが、家庭訪問は、子供を取り巻く家庭や地域の実態を知るとともに、学校での子供の様子を家庭に伝えるというねらいで、各学校の校長の判断の下に行われております。現在、小中学校においては家庭訪問を計画的に実施しておりますほか、個人面談の場や電話、連絡ノートなどの活用により、学校と家庭とが一体となった子供の育成に努めております。 また、議員のお話にありました子供の良さを機を逃さずに伝える随時の家庭訪問も、子供たちに意欲と自信を持たせ、教育効果を高める上で大変効果的であると考えます。県といたしましては、タイムリーで心の通った、子供を元気にする家庭訪問の在り方について、市町村の教育長研究協議会や小中学校などの校長研究協議会の場で協議し、その重要性について訴えてまいりたいと存じます。 次に、エ、教員から教師へ、そして恩師へでございますが、自分が子供のころに教えを受けた恩師にあこがれ、教職を目指した教員が多いことは事実だと存じます。恩師とは、時には、すべきこと、してはならないことを厳しく指導し、また時には、温かいまなざしですべてを受け止める、文字どおり師として仰ぎ見られる存在であります。 現在、学校教育には非行、不登校、中途退学など多くの課題が山積しております。こうした中で、教員には、現実から逃避することなく課題を真正面から受け止め、課題解決のために全力で当たっていくことが求められております。それが信頼される教師像であり、後に恩師として慕われる基本であると存じます。そのためにも、御指摘のとおり、教員一人一人がもう一度教師を志した原点に立ち返ってみること、そして改めて教師としての誇りと情熱を持って、日々子供と正対し取り組むよう強く訴えかけてまいりたいと存じます。 次に、(二)家庭の教育力についてのア、親の学習についてでございますが、近年の都市化や核家族化、少子化、地縁的なつながりの希薄化など家庭を取り巻く状況の変化の中で、家庭の教育力の低下が大きな問題として指摘されております。県ではこれまで、子育て中の親を支援するため、保育士や教員免許など一定の資格を持った方を子育てアドバイザーとして養成し、子育て相談や家庭教育学級の指導者として活躍をしていただいております。また、乳幼児子育て電話相談や就学時健診のときの子育て講座なども実施してきたところでございます。しかしながら、子育てに関心が薄い親や学ぶ余裕がない親などが参加しないという課題がございます。 また、中央教育審議会では、できる限り早い段階から親になるための学習が必要であるとの認識を示しており、新たに中学生や高校生を対象として考えることが求められてきております。こうした課題に対応するため、平成十八年度新規事業として、親の学習についての研究開発・推進事業を立ち上げさせていただきたいと考えております。教育の出発点は家庭にあると言われており、親の役割は極めて重要であります。畠山議員が自ら足を運ばれた大阪府の教材、「『親』をまなぶ・『親』をつたえる」の先行事例も研究しながら、家庭の教育力の向上につながるよう事業の展開に努めてまいります。 次に、(三)高校の中途退学防止対策についてでございます。 本県の公立高等学校の中途退学率は全国平均を上回っており、中途退学問題の解決は、教育行政の最重要課題の一つであります。中途退学問題の背景には、学校生活において人間関係でのつまずきや集団生活に適応できない状況、基礎学力が身に付かず授業に関心や意欲が持てない状況があるものと受け止めております。 そこで、平成十八年度から普通科の一年生全員を対象とした様々な社会体験や奉仕活動を実施する高校を指定し、入学後の早い段階において適応指導に力を入れることといたしております。お話にもございましたように、中途退学問題の解決には、高校入学前における義務教育での基礎学力の習得や目的意識の醸成など長いスパンでの取組が重要でございます。県では平成十七年度から、「学力」「規律ある態度」「体力」の教育に関する三つの達成目標の取組をすべての小中学校で実施し、子供たちが基礎基本を確実に身に付けることができるように指導しておりますが、この三つの達成目標は、五年、十年を単位とした息の長い取組が必要でありますので、今後も効果を検証しながら継続して実施してまいります。また、中学校におけるふれあい講演会の内容を充実させるとともに、小学校段階からの進路意識を啓発する資料を新たに作成するなど、キャリア教育を総合的に推進してまいります。 一方、中学校と高校との連携につきましては、県内五地区で行われている進路指導対策協議会の開催や体験入学の実施などがございますが、十分な成果を上げているとは言えない状況もございます。そこで、県内各界の有識者で構成する埼玉県高等学校教育振興協議会に対し、このたび、中学校教育と高等学校教育との望ましい接続の在り方について諮問をいたしました。秋には答申を受ける予定でございます。今後は、この答申の内容を具体的に施策化する中で、小中高等学校がより緊密に連携し、進路指導、キャリア教育の一層の推進を図り、中途退学防止に努めてまいります。 次に、(四)国際理解教育の充実をでございますが、高校生が外国での生活を実際に体験し、異文化に触れることは、日本人としてのアイデンティティーを持った国際人の育成にとって大切であると考えます。このため、本県では平成七年度から短期の交流である県立高校インターリンクス事業を実施し、これまで延べ三百六十六校、約一万人の生徒を外国に派遣し、継続的な友好のきずなを深め、現在、県立高校二十九校が海外の高校との姉妹校提携を結んでおります。 しかしながら、プログラムの内容が語学学習だけに偏り、文化的交流が少ないなどの問題がございましたので、この事業の見直しを行い、平成十八年度からは外国の高校生との相互理解を一層深めるため、ホームステイを通した異文化理解体験などを重視した新たな事業を実施する予定でございます。さらに、インターリンクス事業以外の高校生の留学につきましては、留学により進級が遅れることのないよう、外国の高校で学んだ単位を帰国後に在籍する高校での単位として認定するなどの方策を講じて留学しやすい環境づくりを進めるなど、国際理解教育の拡充を図ってきております。 今後におきましては、お話にございました財団法人エイ・エフ・エス日本協会などの団体と連携して、具体的にどのような方策が図れるか検討してまいりたいと存じます。     〔加地正人警察本部長登壇〕 ◎加地正人警察本部長 御質問九、安心・安全のまちづくりについての(二)緊急輸送道路への案内板の設置についてのうち、私に対する御質問にお答えを申し上げます。 議員御指摘のとおり、災害応急対策が迅速、的確に行われるためには、一般車両の通行を禁止又は制限して緊急輸送路を確保することが極めて重要でございます。県警察といたしましては、緊急輸送道路の四十一か所の路側に標識を設置し、災害発生時には通行禁止になる旨の案内を常時行っております。また、緊急輸送道路やその周辺に設置しております電光式の交通情報板九十一基を活用した案内を、防災週間や一月、九月の防災訓練時に実施いたしまして、県民への周知に努めておるところでございます。議員の御提案も踏まえまして、今後とも県警といたしまして周知対策を一層推進するとともに、道路管理者による案内板の設置にも協力をいたします。          ---------------- △次会日程報告 ○蓮見昭一議長 以上で、本日の日程は終了いたしました。 明二十四日は午前十時から本会議を開き、知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問を続行いたします。          ---------------- △散会の宣告 ○蓮見昭一議長 本日は、これにて散会いたします。午後二時四十八分散会          ----------------...